iPhoneのカメラには、被写体に文章が含まれているとそれを読み取る機能「テキスト認識表示」(Live Text)が搭載されています。一方、テキストが記載された書類を撮影し、PDFとして保存する「書類をスキャン」機能も用意されています。両者はどちらも紙に印刷された文章を認識してデジタルデータ化しますが、その目的は大きく異なります。
共通する技術基盤
両機能は、Appleが開発した開発フレームワーク「VisionKit」を用いています。このため、文字認識の精度に差はありません。違いは、データをどのように扱うかにあります。
テキスト認識表示は一時利用向け
テキスト認識表示は、カメラアプリで映した文字を認識し、テキストデータとして処理するための機能です。認識されたデータは恒久的に保存せず、コピーするなど一時利用を主な目的としています。写真アプリでも、画像に写り込んだ文章をテキストデータのように範囲指定してコピーできますが、これも同じテキスト認識表示です。
書類をスキャンはPDF保存向け
書類をスキャンは、認識された文章とその周囲を再利用可能な文書(PDF)として保存するための機能です。文字認識にVisionKitを使う点はテキスト認識表示と同じですが、文書の四隅を検出し台形補正を行い紙の文書としての体裁を保つなど、物理的な文書をデジタル化する機能に重点を置いています。複数ページを取り込みPDF化するなど、恒久的な保存を目的にしている点も異なります。
つまり、テキスト認識表示と書類をスキャンの違いは、データとして再利用しやすいPDFとして残すかどうか、書籍のように複数ページの文書を扱うかどうかという利用目的にあります。同じ開発フレームワークを使用しているだけに、文字認識精度に差はありませんから、データをどのように使うかで決めればいいでしょう。



