オムロン、NVIDIAと開発の基板検査デジタルツインをSEMICON Taiwanで初公開
オムロン、NVIDIA製デジタルツインを初展示

オムロンは、2026年9月2日から4日まで台湾・台北南港展覧館で開催されている「SEMICON Taiwan 2026」に出展し、NVIDIAとの協業で開発を進めている半導体基板検査のデジタルツインを、デモンストレーション形式で初展示した。

同社がSEMICON Taiwanへ出展するのは、2024年の初出展から3年連続となる。台湾は半導体、特に先端半導体分野における技術トレンドの発信地であり、オムロンが注力する基板検査の考え方を半導体メーカーやOSAT、基板メーカーなどへ発信する重要な地域と位置付け、協業の成果を初めて披露する場に選んだという。

検査済みデータから基板を3次元で再現

今回の展示では、オムロンの草津工場で事前に検査した基板のデータをPCへ取り込み、NVIDIA Omniverse上で立体的に再現するデモンストレーションを行っている。

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会場で新たに基板を検査するのではなく、外観検査装置(AOI)と3D CT型X線検査装置(AXI)で取得済みのデータを3次元化し、検査結果の新たな活用方法を紹介する展示となる。

来場者はマウスを操作して基板の3Dモデルを360度回転させ、上面、側面、裏面など任意の方向から品質状態を確認できる。従来は輪切り状のCT画像や測定数値から推察していたバンプ内部の気泡やボイド、接合状態などを、立体的かつ直感的に把握できるようにした。

また、裸眼で立体映像を確認できるソニーの空間再現ディスプレイを使用し、基板が画面から飛び出すような表示も実施。カラーマッピングを含む3次元表示を来場者が実際に操作・体験できる展示は、今回が実質的に初めてだとしている。

反りや接合状態の偏りを色で把握

デモでは、基板や部品の高さの違いを色で表示することで、チップの反りやバンプのつぶれ、部品の位置ずれなどの傾向をひと目で把握できるようにした。

先端パッケージング分野では、チップレット化や基板サイズの大型化、バンプ数の増加、バンプサイズの微細化などが進んでいる。材料間の熱膨張係数の違いなどによってチップや基板に反りが生じると、バンプやはんだ接合部へ応力が集中し、接合不良やクラックにつながる可能性がある。

従来のX線検査では、バンプやはんだの形状から部品の反りを推察する必要があった。今回のデモでは、外観検査で取得した部品表面の高さ情報と、X線検査で取得した内部の接合状態を同じ仮想空間上で扱うことで、反りと接合状態の関係を確認しやすくしている。

例えば、複数箇所で同じ方向への反りや接合状態の偏りが確認された場合、加熱温度や圧力、リフロー条件などに共通する要因がある可能性を検討し、製造条件の見直しにつなげるといった活用を想定する。

検査から工程改善までをつなぐ品質マネジメント

オムロンが今回の展示で訴求するのは、完成品の良否を判定するだけの検査ではなく、取得した品質データを原因分析や製造工程の改善に活用する品質マネジメントである。

検査結果を3次元で可視化することで、製品のどこに、どのような異常が発生しているかを、検査や製造、設計などの担当者が共通のイメージとして把握しやすくなる。また、品質状態を製造条件と関連付けることで、不良の根本原因を分析し、次の製造へフィードバックすることも可能になる。

将来的には、検査装置から得られた情報をAIが理解できる「Quality Data」として活用し、過去の検査結果や製造条件を踏まえた原因分析や改善提案につなげることも目指している。

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品質状態の可視化、シミュレーション、AIによる分析を組み合わせ、検査、不良原因の究明、製造条件の見直しを一連の流れとして扱うことで、熟練技術者の経験だけに依存しない品質管理体制の構築を支援する考えだ。

先端パッケージング向け3D CT型X線検査も紹介

なお同社ブースではデジタルツインのデモに加え、先端パッケージング向けの3D CT型X線検査技術も紹介している。ガラス貫通電極(TGV)、マイクロバンプ、ボイド、チップレットなどを定量的に検査し、反りや接合状態の可視化を通じて、研究開発から量産までの工程改善を支援する。

半導体向け3D CT型X線自動検査装置「VT-X950」シリーズは、C4バンプやマイクロバンプのはんだ実装プロセスにおける品質管理に対応する。ウェハやサブストレート、JEDECトレーなど、さまざまな状態での自動検査が可能で、取得した計測データを統計分析や製造工程へのフィードバックに活用できるという。

オムロンは今回の展示を通じて、先端パッケージングの複雑化に対応する自動検査技術と、そこで得られるデータをデジタルツインやAIへ展開する考え方を提案。検査装置の役割を、不良品を選別する工程から、品質状態の可視化、原因究明、工程改善までを支える仕組みへ広げ、先端半導体製造における品質向上と歩留まり改善につなげていくとしている。