AMDは「AMD Advancing AI 2026」において、AIアクセラレータ「Instinct MI455X」とラックシステム「Helios」について詳細を説明した。前回記事ではMI455Xに焦点を当てたため、今回はHeliosの構成に絞って解説する。
Heliosの概要とこれまでの経緯
Heliosという名称は、2025年のAdvancing AIでPreviewとして初めて示された。当時は名称のみで詳細は不明だったが、2025年11月のFinancial Analyst Dayで詳細が追加され、2026年1月のCESでは内部構造が紹介され、実物のラックも公開された。
Compute Trayの内部構造
Compute Trayでは、Venice CPUとInstinct MI455XがInfinity Fabricで接続され、双方向で256GB/secの帯域を持つ。これは片方向128GB/secでPCIe Gen6 x16相当であり、PHYはPCIeの64Gbpsモードで動作する。また、VeniceにはPensando Salina 400 DPUがPCIe接続され、400GbpsのEthernetでFront-End用の接続を担う。
Scale-out用にPensando Volcanoを配置
注目すべき点として、Pensando VolcanoがScale-out用として位置づけられている。UALinkは本来Scale-up用の規格だが、Scale-outに使用する意図は現時点では不明。Scale-outとFront-Endを分けていることから、Helios同士の接続を想定している可能性がある。
UALink 128G採用の背景
もう一つの驚きはUALink 128Gの採用だ。UALink 128GはPCIeベースで、2.5G/32G/64G/128Gの転送速度をサポートする。AMDはUALink 128G相当の規格を先に開発し、標準化を後から行った可能性がある。
Scale-up接続には独自実装のUALoEを採用
Scale-up接続にはUALoE(UALink over Ethernet)を採用。これは独自実装で、EAMから36本のUALoE Linkが出て、12個のSwitchと相互接続する。UALoEは100GBASE-CR1を3本束ねて600Gbpsの帯域を実現している。
専用DMA Engineを搭載
UALoEには専用のDMA Engineが搭載され、データ移動をカーネルから独立して行うRDMA的な方式を採用。これはScale-upネットワークとしては異例の実装だ。
Heliosラックの全体構成
Heliosラックは18のCompute Trayと6のSwitch Trayで構成され、両側に給排水経路、中央に電源を配置するOCP準拠の構造。Scale-upネットワークは銅配線ベースで、基板を使用した配線となっている。
Switch Trayの詳細
Switch Trayには200Gレーンが512ポートのSwitch ASICを搭載。BroadcomのTomahawk 6(Condor)相当とみられる。UALoEはEthernet L2 Switchで賄えるため、独自のSwitch開発が不要な利点があるが、MACアドレスによるルーティングでレイテンシが大きくなる課題がある。
NVIDIAとの比較と今後の課題
NVIDIAはNVL576でラック間を配線で接続する方式を採用し、Heliosも同様のトポロジーを持つ。将来的にはUALink 128用のSwitchが開発されれば、より効率的な接続が可能になるが、現状は暫定的な構成と言える。
Heliosは帯域を確保しつつもレイテンシが大きく、性能への影響が注目される。今後のベンチマーク結果が待たれる。



