トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、自動運転技術に不可欠な人工知能(AI)半導体の共同開発で基本合意した。両社は2028年までの実用化を目指し、次世代モビリティ社会の基盤となる技術の確立を狙う。
協業の背景と目的
自動運転の高度化には、膨大なセンサーデータをリアルタイムで処理する高性能AI半導体が不可欠だ。しかし、従来の汎用半導体では消費電力や処理速度に限界がある。そこでトヨタとNTTは、それぞれの強みを生かした専用半導体の開発に乗り出した。
トヨタは自動車の設計・製造技術を、NTTは光電融合技術などの先端半導体技術を提供する。両社は2024年から開発を開始し、2028年までに実用化する計画だ。
具体的な開発内容
開発する半導体は、AI処理に特化した「AIアクセラレーター」と、光通信技術を組み合わせた「光電融合型AI半導体」の2種類。これにより、従来比で消費電力を10分の1以下に抑えつつ、処理速度を100倍以上に向上させる目標を掲げる。
NTTは2023年に光電融合技術の試作品を発表しており、今回の協業で自動車向けに最適化する。トヨタは2030年までに自動運転レベル4(特定条件下での完全自動運転)の実用化を目指しており、本半導体が中核技術となる。
業界への影響
自動運転向け半導体市場は、米エヌビディアやインテル、韓国サムスン電子などが先行する。トヨタとNTTの協業は、日本発の技術で国際競争に挑む形だ。特に、自動車と通信の大手が連携することで、車両とインフラの統合システムの標準化を狙う。
専門家は「両社の協業は、自動運転の実用化を加速させるだけでなく、日本の半導体産業の復活につながる可能性がある」と指摘する。また、この技術は自動車以外にも、ロボットやドローンなど幅広い分野への応用が期待される。
今後のスケジュール
2024年度中に基本設計を完了し、2025年度から試作・評価を開始。2027年度までに車載向けの量産技術を確立し、2028年度からの量産開始を目指す。トヨタは「2030年までに全車種に自動運転機能を搭載する」と発表しており、本半導体の量産が鍵を握る。
両社は「本協業を通じて、安全で快適なモビリティ社会の実現に貢献する」とコメントしている。



