半導体不足の終焉が近づく
世界的な半導体不足が、2023年後半から急速に解消に向かっている。大手調査会社や業界団体の予測によれば、2024年には一部の半導体製品で供給過剰になる可能性が指摘されている。この背景には、パンデミック後の需要減退と、半導体メーカーによる積極的な設備投資がある。
需要減と生産能力増加が供給過剰を招く
スマートフォンやパソコンなどの最終製品の需要が落ち込む一方で、半導体メーカーは過去2年間にわたって生産能力を拡大してきた。その結果、2023年半ばには需給バランスが改善し、一部の汎用品では価格が下落に転じている。例えば、DRAMやNANDフラッシュの価格は、2023年第2四半期に前年同期比で約20%下落した。
米国半導体工業会(SIA)のデータによると、2023年4月の世界半導体売上高は前年同月比で約21%減少した。これは、需要減退が顕著であることを示している。一方で、台湾のTSMCや韓国のサムスン電子などの大手メーカーは、2023年も巨額の設備投資を継続しており、供給能力はさらに増加する見通しだ。
自動車業界への影響と今後の見通し
半導体不足の影響を最も強く受けた自動車業界では、2023年後半から生産制約が緩和されつつある。トヨタ自動車は2023年6月、2024年3月期の世界生産計画を過去最高の約1,050万台に設定した。これは、半導体供給の改善を見込んだものだ。
しかし、すべての半導体で供給過剰になるわけではない。先端プロセスを必要とするAI向け半導体や、自動運転向けの高性能チップは依然として需要が強く、供給不足が続く可能性がある。また、地政学的リスクや自然災害による供給途絶のリスクも残っている。
調査会社のガートナーは、2024年の半導体市場について、全体としては供給過剰の状態になると予測する。ただし、製品セグメントによって状況は大きく異なり、需要の変化に柔軟に対応できるメーカーが生き残ると分析している。
まとめ
半導体不足は2023年後半に解消の兆しを見せ、2024年には一部で供給過剰に転じる可能性がある。需要減と生産能力増加が主な要因だが、先端半導体では依然として需給が逼迫している。自動車業界などの需要家にとっては、半導体調達の環境が改善する一方で、メーカーは過剰生産に注意が必要だ。



