世界的な半導体不足が自動車業界に深刻な打撃を与えている。東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)が、半導体の供給網を直撃し、トヨタ自動車や日産自動車など主要メーカーが相次いで減産を余儀なくされている。
トヨタ、9月の全球生産を4割減
トヨタ自動車は8月、9月の全球生産を当初計画から約36万台減らし、約54万台とする方針を明らかにした。これは前年同月比で約4割の減産に相当する。同社はこれまで半導体不足の影響を比較的抑えてきたが、東南アジアからの部品調達が滞ったことが響いた。特にマレーシアでのロックダウンが長期化し、半導体の供給が大幅に遅れている。
トヨタの豊田章男社長は「東南アジアの状況は予想以上に厳しい。部品メーカーと協力して対応を急ぐが、生産への影響は避けられない」と述べている。同社は9月の減産に加え、10月以降も生産調整を検討している。
日産も減産、マレーシアからの調達難航
日産自動車も8月、9月の国内工場での生産を一部停止すると発表した。マレーシアから調達する半導体が不足し、栃木工場や追浜工場などで最大2週間の生産停止を実施する。日産の広報担当者は「影響は限定的だが、部品調達の見通しは依然不透明だ」とコメントしている。
ホンダも8月、埼玉製作所で一部車種の生産を停止。スズキやマツダも同様の措置を取っており、国内自動車メーカー全体に半導体不足の波紋が広がっている。
東南アジアのロックダウンが供給網を直撃
半導体不足の背景には、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大がある。マレーシアでは、デルタ株の流行を受け、6月から厳しいロックダウンが続いている。同国は半導体の後工程(組み立てや検査)の世界的な拠点であり、多くの自動車部品メーカーが工場を構える。ロックダウンにより工場の稼働率が低下し、半導体の供給が滞っている。
また、フィリピンやベトナムでも感染拡大により工場の操業が制限されており、部品調達の混乱は長期化する見通しだ。半導体不足は自動車だけでなく、家電やスマートフォンなど幅広い業種に影響を及ぼしている。
自動車メーカー、生産回復の見通し不透明
自動車メーカー各社は、生産回復のめどが立っていない。トヨタは9月の減産に続き、10月以降も生産調整を継続する可能性がある。日産やホンダも、部品調達の状況を注視しながら生産計画を柔軟に見直す方針だ。
半導体不足は、需要の急回復と供給の追いつかない構造的な問題も背景にある。自動車向け半導体の需要は、電動化や自動運転技術の進展により今後も増加が見込まれる。自動車メーカーは、半導体メーカーとの連携強化や在庫の積み増しなど、供給網の強靭化を急いでいる。
業界関係者は「半導体不足の解消は早くとも2022年以降になる」と指摘しており、当面は生産への影響が続きそうだ。



