レゾナック・ホールディングスの高橋秀仁社長は「ここから5年は負ける気がしない。課題があるとすれば、この業界で5年間はあっという間だということだ」と自信を見せる。同社は2023年1月に昭和電工と旧日立化成の統合で誕生した。昭和電工が日立化成を2020年に買収してから6年余り、社名変更にとどまらず急速に変革を遂げている。
半導体材料への集中投資
レゾナックは半導体・電子材料事業に重点を置き、2026年度には過去最高の837億円の設備投資を計画。生産能力の増強を進めている。半導体の後工程向けで世界シェア1位を握る材料を複数保有し、本領発揮の段階にある。
半導体の性能向上は、従来シリコンウェハー上の微細化(前工程)で競われてきたが、技術的限界に近づいている。そこで注目されるのが、複数の高性能半導体を組み合わせる後工程のパッケージング技術だ。特に生成AI向け半導体の需要増が追い風となっている。
AI半導体向け材料が好調
積層に使われる絶縁接着フィルムは、AI半導体で重要性が高まる高性能メモリー「HBM(広帯域メモリー)」向けに引き合いが強い。また、AI半導体の高温対策に欠かせない熱伝導材や、パッケージ基板に必須の銅張積層板も受注好調だ。
業績にも表れている。2025年度の半導体・電子材料事業の売上高は前期比13.7%増の5063億円、コア営業利益は同47%増の1083億円。2026年度第1四半期(1~3月)の部門売上高は前年同期比21.1%増の1346億円、コア営業利益は同73.7%増の339億円と、収益性の高いAI半導体向け材料が牽引した。
株価も反応し、2025年7月の3000円台から2026年5月には一時2万円台まで上昇。足元は調整局面ながら1万6000円前後で推移している。
次世代技術開発のコンソーシアム設立
勢いを維持するにはAI半導体の技術進化にキャッチアップする必要がある。レゾナックで半導体材料開発を所管する阿部秀則執行役員は「1つの半導体の開発サイクルがこれまで2~3年周期だったのに対し、今は毎年のようになっている」と指摘。その上で「半導体メーカーや装置メーカーとの会話の重要性が高まっており、いかに早く情報を仕入れられるかが競争力を左右する」と語る。
事業売却で素材・材料に集中
レゾナックは事業構造の変革も進めている。旧日立化成が保有していた半導体材料への注力と同時に、非中核事業の売却を推進。素材・材料分野に経営資源を集中する方針だ。これにより、半導体材料事業の競争力をさらに高める狙いがある。



