日本政府は、かつて世界をリードした半導体産業の復活に向けて、官民連携で数十兆円規模の投資を計画している。経済産業省が主導するこの戦略は、2030年までに国内半導体関連の売上高を15兆円に引き上げることを目標としている。
TSMC熊本工場の進捗
台湾の半導体大手TSMCは、熊本県菊陽町に建設中の第1工場で、2024年末の量産開始を目指している。この工場は、ソニーグループやデンソーとの合弁で、総投資額は約1兆円。最先端の22〜28ナノメートルプロセスを採用し、車載用や画像センサー向け半導体を生産する。さらに、第2工場の建設も検討されており、その場合の投資総額は2兆円を超える見通しだ。
ラピダス北海道工場
国内新興企業ラピダスは、北海道千歳市に先端半導体工場を建設中。2025年の試作ライン稼働、2027年の量産開始を目標に、2ナノメートル以下の最先端ロジック半導体の国産化を目指す。政府はラピダスに対し、累計3300億円の補助金を決定。同社は2025年までに1兆円、量産開始までに総額5兆円の投資を見込む。
キオクシアとウェスタンデジタルの統合
NAND型フラッシュメモリー大手のキオクシアホールディングスは、米ウェスタンデジタルとの経営統合協議を進めている。統合後は、世界最大のNANDメモリーメーカーとなる可能性がある。しかし、中国の規制当局の承認など課題も残る。統合が実現すれば、国内半導体産業の競争力強化につながると期待される。
官民連携の課題
これらの取り組みには、巨額の投資と人材確保が課題となる。半導体業界では、世界的な人材不足が深刻化しており、日本も例外ではない。経済産業省は、2023年度から5年間で半導体関連の人材育成に200億円を投入する計画。また、税制優遇や規制緩和など、投資環境の整備も急務だ。



