政府は半導体分野の国内投資を促進するため、2024年度補正予算案に約1.5兆円の補助金を計上する方針を固めた。このうち約1兆円を台湾積体電路製造(TSMC)の熊本第3工場建設に充てる方向で調整している。残りの約5000億円は、北海道千歳市で工場建設を進めるラピダスや、その他の半導体関連プロジェクトに配分される見通しだ。
TSMC熊本第3工場への支援
TSMCは熊本県菊陽町に第1工場を建設中で、2024年末の量産開始を予定している。第2工場も同県内に建設が決まっており、今回の第3工場は最先端の3ナノメートル(nm)プロセスに対応する可能性がある。政府は経済安全保障の観点から、先端半導体の国内生産基盤を確立する必要があると判断した。補助金の総額は第1工場向け約4760億円、第2工場向け約7320億円に続き、第3工場向けとして約1兆円が見込まれている。
ラピダスへの追加支援
ラピダスは2025年のパイロットライン稼働、2027年の量産開始を目指している。政府はこれまでに約3300億円の補助金を決定しており、今回の追加支援により総額は8000億円規模に達する見込み。ラピダスは2nmプロセス以下の超先端半導体の量産を計画しており、日本の半導体復活の鍵を握るプロジェクトと位置づけられている。
半導体産業の現状と課題
日本の半導体産業は1990年代に世界シェア約50%を占めていたが、現在は約10%に低下している。政府は2030年までに国内半導体関連の売上高を15兆円に引き上げる目標を掲げており、今回の補助金はその一環だ。しかし、巨額の財政支出に対しては、効果の検証や産業界の自助努力を求める声も上がっている。経済産業省は「補助金の使途を厳格に監視し、国内の半導体エコシステムの構築につなげたい」と説明している。
経済安全保障と国際競争
半導体は経済安全保障上、重要な戦略物資と位置づけられている。米中対立の激化に伴い、各国が半導体の国内生産強化に乗り出している。日本も台湾有事など地政学的リスクに備え、先端半導体の安定供給確保が急務となっている。今回の補助金は、こうした国際情勢を踏まえた判断と言える。



