電気自動車(EV)の世界的なシフト加速に伴い、半導体の需要が急拡大している。EV1台あたりに搭載される半導体の数は、従来のガソリン車の約2倍に相当する。この需要増に対し、日本企業は車載半導体の分野で強みを発揮しているものの、先端ロジック半導体では台湾や韓国に遅れを取っている。
EV1台あたりの半導体搭載数が急増
調査会社のデータによると、EV1台には平均で約2000個の半導体が使用されており、これはガソリン車の約1000個から大きく増加している。特にパワー半導体やセンサー類の需要が顕著だ。国際エネルギー機関(IEA)の報告書では、2030年までに世界のEV販売台数が現在の約10倍になると予測されており、半導体市場にも大きな影響を与えるとみられる。
日本企業では、ルネサス エレクトロニクスやローム、三菱電機などが車載半導体で高いシェアを誇る。特にパワー半導体では、日本のメーカーが世界市場の約3割を占めている。しかし、先端半導体の分野では、台湾積体電路製造(TSMC)やサムスン電子に大きく水をあけられている。
経済産業省が国内生産強化へ補助金
経済産業省は、半導体の安定供給を確保するため、国内生産拠点の強化に向けた補助金政策を打ち出した。2023年度補正予算には、半導体関連で約1兆3000億円が計上されている。このうち、先端半導体の製造技術開発には約3000億円が充てられる予定だ。
経産省の担当者は「EVシフトは半導体産業にとって大きなチャンスだ。日本企業が強みを持つ車載半導体をさらに強化するとともに、先端分野でも存在感を示していく必要がある」と述べている。
車載半導体市場の競争激化
車載半導体市場は、新興企業の参入も相次いでいる。中国では、EVメーカーのBYDが自社で半導体を開発する動きを見せている。また、米国のクアルコムも車載半導体事業に本格参入し、競争は激化の一途をたどっている。
こうした中、日本企業は品質や信頼性で差別化を図る戦略を取っている。ルネサスは、車載半導体の故障率を業界最低水準に抑える取り組みを進めており、自動運転技術の高度化にも対応した製品開発を加速している。
半導体不足の教訓と今後の課題
2021年からの世界的な半導体不足は、自動車産業に大きな影響を与えた。トヨタ自動車は、半導体不足により複数回の減産を余儀なくされた。この経験から、各社は在庫の積み増しやサプライチェーンの多元化を進めている。
半導体業界のアナリストは「日本企業は車載半導体で強いが、先端半導体の設計や製造で遅れを取っている。官民挙げての投資と人材育成が急務だ」と指摘する。経済産業省も、半導体産業の復活を国家戦略の柱に据えており、今後の動向が注目される。



