電気自動車(EV)の普及に伴い、車載用電池市場で中国メーカーの台頭が顕著となっている。調査会社SNEリサーチのデータによると、2023年の世界市場における中国勢のシェアは約63%に達し、前年の55%から拡大。一方、日本企業のシェアは約10%に低下し、10年前の40%超から急落した。
首位はCATL、2位にBYDが急浮上
2023年の世界販売ランキングでは、中国の宁德時代(CATL)が約37%のシェアで首位を堅持。2位には同じく中国のBYDが約16%で続き、韓国のLGエナジーソリューション(約14%)を上回った。日本勢はパナソニックが約8%で5位にランクインしたものの、前年の4位から後退した。
「中国メーカーは政府の強力な支援を受け、大規模生産によるコスト競争力と技術革新で優位に立っている」と、業界アナリストは指摘する。特にCATLは、高エネルギー密度のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池で世界のEVメーカーから広く採用されている。
日本メーカーの巻き返しは可能か
日本勢では、パナソニックがテスラ向けに高品質な電池を供給し続けているが、中国勢の低価格攻勢に対抗するのは容易ではない。また、日産自動車やホンダなど自動車メーカーも電池の内製化を進めるが、量産規模では中国に大きく差をつけられている。
「日本企業は高品質・高信頼性という強みを持つが、価格競争では中国にかなわない。差別化として、次世代の全固体電池の実用化が鍵となる」と、専門家は語る。実際、トヨタ自動車は2027年以降の全固体電池搭載EVの量産化を目指している。
市場規模はさらに拡大へ
国際エネルギー機関(IEA)の予測では、2030年までのEV販売台数は年間約4000万台に達し、それに伴い車載用電池の需要は現在の約5倍に拡大する見込み。この巨大市場で日本勢が存在感を維持するためには、技術革新と生産能力の強化が急務となっている。
韓国勢も中国に迫る
韓国のLGエナジーソリューションやSKオンも、北米市場を中心にシェアを拡大している。特に米国のインフレ抑制法(IRA)の恩恵を受け、韓国勢は北米でのバッテリー生産拠点を増強中だ。一方、中国勢は欧州市場でのシェア拡大に注力しており、地政学的なリスクもにらみながらの競争が続く。
こうした中、日本政府は蓄電池産業の強化に向け、2023年度補正予算で約3300億円の支援を決定。国内の電池生産能力を2030年までに現在の約10倍となる150ギガワット時に引き上げる目標を掲げている。



