AIロジック半導体市場が堅調、AMDとIntelのサーバーCPU競争が激化
AI半導体市場堅調、AMDとIntelのCPU競争激化

AI市場の今後の見方が大きく揺れる中で、乱高下を繰り返す半導体メモリー市場の状況をしり目に、AIロジック半導体市場は多少の調整はあるにしても、堅調に成長している。これまでNVIDIAを中心とするGPUベースのアクセラレーターを核に急成長を続けてきたAIロジック半導体市場は、開発の焦点が学習から推論分野へ移行すると、サーバー用のCPUへの需要が急激に増加する局面を迎えている。この巨大市場を2分するブランドであるAMDとIntelの動向が注目される。CPU市場で40年以上も熾烈な競争を繰り広げたこの2社は、先端AI開発の最前線でサーバーCPU分野で再び対決する。

AMDの時価総額1兆ドル超えが視野に

AMDはGPUとCPUの両輪でAI市場からNVIDIAやIntelの有力な対抗軸として大手顧客を取り込み、存在感を高めている。AMDの株価は順調に伸び続け、市場関係者からは時価総額が1兆ドルを超えるのではないかと囁かれ始めている。時価総額1兆ドルと言えば、米国のDRAM/FlashメモリーブランドとしてAIブームに乗って急成長したMicron Technologyがすでに達成しているが、メモリー株式市場は非常に荒い乱高下に見舞われている。その一番の理由は、現在のメモリー市場の成長が製品の出荷量の増加ではなく、需給バランスの歪みで高値に吊り上げられた製品単価に依っている点にある。しかも、現在の旺盛な需要に応えるために各社が大規模な設備投資に走っていることが、投資家の間で将来の株価について賛否両論分かれる原因となっている。

AMDの場合、製造をTSMCに任せてファブレスで運営できる強みがある。しかも、「推論」分野で必要とされている計算力の要件がこれまでのGPU一辺倒の状態から、データセンター全体のオーケストレーションを担うCPUにシフトしているというAI開発環境での変化が、AMDに大きな優位性をもたらしている。AMDはこの5-6年間、Intelがプロセス技術の問題で足踏みしている間にCPUの市場シェアを大きく伸ばした。特に、データセンター市場でのEPYCブランドの躍進は目覚ましく、データセンター大手顧客の多くがCPUにAMDのEPYCを選択するケースが増えている。

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TSMCにとって、AMDはNVIDIAに次ぐ大手顧客で、製造キャパシティーの確保には充分なシェアを確保しているものとみられる。GPUとCPUという利益率の高い高付加価値の製品を製造委託している点で、もう一つの大手顧客であるAppleとは異なる事情がある。

AMDが「Advancing AI 2026」で第6世代EPYCを発表へ

AMDは7月22日に、サンフランシスコで「Advancing AI 2026」と題するカンファレンスの開催を予定している。このイベントでは、「Zen 6」アーキテクチャーを採用した最新のサーバーCPU、第6世代EPYC「Venice」(開発コード名)を正式発表する計画である。TSMCの2nmプロセスで製造されるVeniceは、現行世代品「Turin」(開発コード名)を大きくアップグレードした仕様となっており、実性能がどれほどのものになるかは大きな注目点である。AMDはサーバーCPUの競合として、Intelだけでなく、NVIDIAの「Vera」も視野に入れており、このイベントはCPU技術が注目される現在のAI市場で最もホットな話題となる。

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Intel、アイルランド工場に50億ユーロ追加投資

業界のレジェンドPat GelsingerからLip-Bu Tanへの劇的なCEO交代劇を経た最近のIntelの動きには確かに大きな変化がみられる。その変化は今後のIntelの復活を示唆するものに感じられる。自社のアーキテクチャーを業界スタンダードとして確立し、技術的リーダーシップで市場を独占的に掌握するというかつてのIntelのイメージは次第に変わりつつある。その大きな変化はIntelと米国現政権との距離の近さにもみられる。「Made In USA」の大きな目標を掲げるトランプ政権と、ファウンドリビジネス構築を目指すうえで巨額の投資を必要としているIntelの関係は非常に相性がいい。Intelの大株主となったトランプ政権は、NVIDIAやAppleといったファブレス企業にIntelによる米国内での半導体製造への働きかけを行っているという。

ファウンドリ事業の構築にはまだ時間がかかり、Intelは未だに赤字体質から抜け出せない状態だが、足元のCPUビジネスを強化する方策に打って出た。アイルランドのレイクスリップキャンパスの従来工場に50億ユーロの追加投資を発表した。同拠点で「Intel 3」プロセスを用いたXeon 6および次世代製品の生産能力を拡大する計画である。この工場への追加投資によって、EUV露光装置をはじめとする製造装置群の増強をはかり、ファウンドリ事業にも貢献できるようにするという。こうした流れを生んだ基本計画は、ファウンドリ事業の構築を高らかに発表した前CEO Pat Gelsingerの功績と言えるが、ファウンドリ事業への資金獲得を進める傍ら、AI開発でのCPU重視のトレンドをいち早く取り込み、Intel復活に次々と施策を繰り出す最近のLip-Bu Tanの手腕も冴えているという印象を受ける。

注目される競合2社の決算発表

7月末から8月の第1週にかけては、40年以上CPU市場での熾烈な競争を繰り広げたこの両社にとって、今後を占う重要なイベントが相次いで予定されている。7月22日には前述のAMDによる「Advancing AI 2026」カンファレンス、その翌日にはIntelの第2四半期の決算発表が予定されている。Intelの決算発表では、先端プロセス「Intel 18A」の成熟度に関する言及がなされるだろうし、次世代プロセスの開発を見据えてIntelファウンドリビジネスの大手顧客が具体的に発表されるかもしれない。8月4日にはAMDの第2四半期の決算発表も控えている。CPU市場で再び繰り広げられるAMDとIntelの対決が見ものである。