日焼け防止フェイスカバー「ヤケーヌ」が急増中、農業から日常へ広がるヒットの理由
日焼け防止フェイスカバー「ヤケーヌ」が急増中、農業から日常へ

街中で日焼け防止用のフェイスカバー「ヤケーヌ」を着用する人が急増している。農業向けに開発されたこの商品は、今やテニスや釣り、子どもの運動会など様々なシーンで使われ、売り上げを伸ばし続けている。

当初は「売れない」と言われた商品

ヤケーヌを手がけるのは丸福繊維。同社の村瀬氏は、開発当初の雰囲気について「正直、『これは売れないからやめたほうがいい』という感じでした。見た目も当時としてはかなりインパクトがあり、『こんなものを着ける人はいないのでは』と思われていました。農協の担当者も半信半疑で、『とりあえず置いてみようか』という反応でした」と振り返る。

しかし、実際に使った農家から「使いやすい」と口コミが広がり、注文が徐々に増加。特にブドウや桃、梨などの果樹農家から支持を集めた。果樹栽培では上を向いて作業する時間が長く、顔に直射日光を浴びやすいためだ。また、日焼け対策だけでなく、ほこり対策として利用するユーザーも現れ、想定外の用途にも広がった。

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テニスから日常使いへ、コロナ禍が追い風に

農業向けとして人気を集める一方、ヤケーヌは思わぬ場所でも使われ始めた。村瀬氏は「ある日、お客様から『テニスでも使っています』という声をいただきました。それは面白いと思い、実際にテニスクラブへ足を運び、使用している様子を撮影させてもらいました」と話す。その様子をプレスリリースとして発信したところ、地方テレビなどに取り上げられ、農業以外の屋外スポーツを楽しむ人々にも認知が広がった。

2016年に村瀬氏が3代目社長に就任すると、BtoC戦略を強化。パッケージデザインを刷新し、販路を拡大。農業向けの機能性を生かしながら、アウトドアや日常使いのアイテムとしてブランド認知を高めていった。

もう一つの転機はコロナ禍だった。マスクの着用が日常となり、顔を覆うことへの抵抗感が薄れたことが後押しとなり、この時期に売り上げは大きく伸長した。

SNSと口コミで若い世代へ拡大

2023年頃からは女性誌やライフスタイル誌で取り上げられる機会が増え、SNSでの口コミも広がり、ユーザー層は若い世代へも拡大。売り上げは毎年、前年を上回るペースで伸び続けている。

村瀬氏は「正直、私たちが何か大きな広告戦略をしたというより、お客様がSNSや口コミで広げてくださった部分が大きいですね。私たちが『この場面で使ってください』と用途を決めたわけではなく、お客様自身が『釣りでも使える』『子どもの運動会でも便利』と、新しい使い方を見つけてくださったことが、ここまで広がった要因の一つだと思います」と語る。

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