中央アジアに位置するキルギス共和国では、ユニクロの直営店が一店もないにもかかわらず、街でユニクロを着る人が増えている。首都ビシュケクには輸入品を扱う「ユニクロ専門店」まで存在するという。日本では「普段着」の代名詞とされるユニクロが、遠く離れたキルギスでなぜ人気を集めているのか。
オフィスカジュアルの広がりが背景に
ユニクロの輸入・販売店「Kawaii JAPAN STORE」のオーナー、サーシャさんは「オフィスカジュアルな服装で働く人が増えたから、ユニクロが人気になったんだと思います」と語る。日本同様、キルギスでもスーツではなくリラックスした服装で働くことが増えているという。
「ただ、キルギスではまだビジネスライクで着心地のいい服を売る店は、そう多くはないんです。オフィス用の服の選択肢が限られていることが、ユニクロブームのいちばんの理由でしょうね」
現地の友人は、職場での体験をこう話す。「義姉がユニクロのパフテックコンパクトベストをプレゼントしてくれたの。それを職場に着ていったら、同僚から『それどこのブランド?』って口々に聞かれたよ。それからは、みんな色違いで買って着てくるようになった。ユニクロはそんな風に口コミで広がっていったんじゃないかな」
売れ筋は定番Tシャツやエアリズム
現在では、ユニクロは幅広い年代、性別から受け入れられている。「ティーンエイジャーから70代くらいまで、いろんな人が高品質な服を求めてやってきますよ」とサーシャさん。売上のトップ6は以下の通り。
- Uniqlo U クルーネックTシャツ
- エアリズム ブラトップ
- プレミアムリネンシャツとリネンブレンドイージーパンツのセット
- ラウンドショルダーバッグ
- スマートアンクルパンツ
- パウダーソフトダウンジャケット
エアリズムやダウンジャケットがランクインしていることから、デザインだけでなく機能性にも注目が集まっていることがうかがえる。
寒暖差の激しい気候と山岳地帯が機能性を後押し
キルギスの人々が機能性に注目する理由は、中央アジアの大陸性気候にある。首都ビシュケクでは、8月の昼間の気温は40度以上に達する一方、冬の昼間の平均気温はマイナス15度程度だ。「だからキルギスでの服装は、レイヤリングが鍵。温度調整できるように、パフテックみたいな服を重ね着しておくと便利なの」と友人は話す。
また、キルギスは国土のおよそ80%が山岳地帯で、気温の低い山岳地帯でのアクティビティでもユニクロは活躍している。「キルギスの人たちは自然が大好き。ハイキングに行ったり、湖のそばで馬に乗ったり……。アウトドアを楽しみたい時、軽くて保温性の高いウルトラライトダウンが便利だよね」
ギフトとしても人気、今後の進出に期待
キルギスでは親戚同士のつながりが非常に強く、ことあるごとに家へ親戚を招いてパーティーを開き、ギフトを贈り合う習慣がある。友人は「ユニクロの店舗がある国に旅行に行くときには、いつも親戚から『お土産に買ってきて!』と頼まれるよ。ユニクロはシンプルでロゴがないから、誰にでも贈りやすいんだよね」と話す。
もしユニクロがキルギスに進出したらどうなるか。友人は「高級ブランド服のコピーが大量に市場に出回っているなかで、ユニクロを着ている人を見ると、『この人、わかっているな』と思う。もしユニクロの店舗ができたら、そういうトレンドに敏感な人が、カザフスタンやロシアのような近隣の国からも買いに来るんじゃないかな」と予想する。
直営店のないキルギスで、わざわざ取り寄せたい「ちょっといい服」として定着しつつあるユニクロ。中央アジアでの今後の展開が注目される。



