止まらない物価高を背景に、家計の防衛策として「身の回りの資産を現金化する」動きが加速している。ただし、かつての「生活に困って売る」というイメージとは異なり、現在は相場の上昇に合わせ、より戦略的に売却する人が増えているようだ。
買取の現場で感じる最新のトレンドと、意外な高額査定アイテムについて、大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんに話をうかがった。
「生活苦」ではなく「高値での利益確定」が主流に
物価高を背景に、査定件数が増えたと感じるジャンルについて、木村さんは「カメラやゲーム、古銭など、少しでもお金になりそうなものの持ち込みは、全体的に増えた」と話す。雑貨なども多い印象だという。
ただ、「生活が苦しいから持ってきました」という方は、実はそれほど多くない。どちらかというと、使わないから、相場が上がったから、あるいは不用品を整理したいといった理由の方が多い。木村さんは「お客様は30~40代以上が中心なので、皆さん、ある程度のゆとりをお持ちなんです。若い方なら、フリマアプリなどを使って直接売買することも多いでしょうしね」と説明する。
売却目的の変化と「金」の意外な使われ方
売却の目的については、「物価が上がったことで中古品の価格も上がり、そのタイミングで売りに来たという方は多い」と木村さん。具体的な使い道としては、旅行費用のほか、子どもや孫の入学祝い、結婚式の費用、引っ越し資金、マイホームの頭金などが挙げられるという。
家の中で「高く売れそうなもの」を探すなら、やはり「金」が強い。特に、「金だと認識せずに持っているもの」に注目すべきだと木村さんは指摘する。例えば、メガネのフレームや金色の置物、金歯、仏具、それから昔の時計。ブランド品でなくても、時計のケースや裏蓋などに金が使われていることがあるという。
20年前は金の価格が1グラムあたり2,000円くらいだったため、さまざまなものに金が使われていた。当時は金だと意識せずに購入していることも多く、そもそも金だと認識されていないケースがある。それを現在の相場で査定すると、驚くような金額になることがある。
ブランド時計や楽器、古いブランドバッグにも高値
ブランド時計については、ロレックスなどはそもそもの定価が上がっているため、購入した時期によっては大きく値上がりしている。一番持ち込みが多いのは現行モデルで、例えば10年ほど前に190万円くらいで購入したデイトナが、現在では400万円台後半から500万円くらいで取引されるケースもある。購入当時は、そこまで上がるとは誰も予想していなかっただろう。
ほかにも「実は高く売れる」ものとして、楽器が挙げられる。木村さん自身も昔ギターをやっていて売ってしまったが、現在のほうがかなり高くなっているという。ヤマハの「PACIFICA」というギターも、モデルによっては中古市場で高値がついている。40~50代の方であれば、昔買ったギターをそのまま放置している人も少なくないと話す。
さらに、昔のブランドバッグも現在かなり値上がりしている。シャネル、エルメス、ルイ・ヴィトン、フェンディ、セリーヌなどが挙げられ、ヴィンテージブームも続いているため、売却を検討しやすい時期だという。
デニムもモデルによっては高く売れる可能性がある。最近ヴィンテージショップで、かなり傷んだリーバイス「501XX」の1950年代モデルが80万円で販売されていた。40年ほど前は10万円くらいだったが、現在は古いモデルの価値が大きく上がっている。
古いバッグや服を売るなら、今はチャンス。捨ててしまう前に、ぜひ一度、査定に出してみてほしい。



