返品率0.001%、リコール時もクレーム皆無の自転車開発:教育費200万円で起業したママの執念
返品率0.001%、リコール時もクレーム皆無:教育費200万円で起業したママの執念

自転車に子どもを乗せるための安全な車両を開発したママ起業家、中原美智子さん。彼女が手がける「ふたごじてんしゃ」は、返品率が脅威の0.001%、リコール時もクレームが皆無という驚異の品質を誇る。資本金は子どもの教育費200万円という背水の陣で起業した彼女の執念が、今、新たな構想「おでかけじてんしゃ(キャリアサイクル)」へと動き出している。

返品率0.001%、クレームゼロの秘密

「年間売り上げや効率のよさだけを追う企業では、私たちのアセスメント販売(R)は採用されなかったと思います。でも、私たちの一番の思いは『自転車を売ること』や『数字を追うこと』ではありません。『今日も楽しかったね』と、家に帰ってこられて、お出かけが当たり前にできることなんです。長い目で見れば多くの人から信頼される、確実な販売方法だと思います」と中原さんは語る。

このアセスメント販売とは、顧客の利用シーンを丁寧にヒアリングし、最適な自転車を提案する手法。単なる販売ではなく、安全で快適な移動手段を提供することに重点を置いている。その結果、返品率は0.001%と極めて低く、リコールが発生した際にもクレームは一件もなかったという。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

26年道交法改正と「おでかけじてんしゃ」構想

2026年の改正道路交通法により、自転車に人を乗せる行為に「青切符」が導入される。これまでグレーゾーンだった「自転車に子どもを乗せる行為」も取り締まりの対象となり、社会的に注目を集めている。中原さんは、子どもの年齢制限の見直しや安全な移動の選択肢を確保するため、新たな構想「おでかけじてんしゃ(キャリアサイクル)」を打ち出した。

「最初にお話ししたように、自転車に子どもを乗せざるを得ない人はたくさんいます。これまで小学生以上の子どもの親や、障害のある子どもの親にアンケートを取っても、子どもを自転車に乗せたいという声はとてもたくさんありました。自転車で移動するのは、小回りも利くし、とても便利なんです。子どもがいる家庭の切実な願いを、どうにかしたいと思っています」

目指すは「自転車に人を乗せて送迎する景色が当たり前の社会」

中原さんが目指すのは、自転車で子どもを送迎する光景が日常となる社会だ。おでかけじてんしゃのプロジェクトを通じて共感者を集め、さまざまな企業が参画し、人を乗せる自転車が日本に根づくための活動を進めていく。

「もちろん、現状では難しいことはたくさんあります。でもまずは、皆さんにこういう問題があると知ってもらうことが大事だと思っていて。今回、青切符が導入されたことで、たくさんの人が『自転車に子どもを同乗させられないと困る』と気づくことになりました。みんなが今のままでいいのか考えるようになったのは、とても意義のあることだと思います」

法改正と車体変更の壁を乗り越えて

安全に人を乗せるためには法改正が必要であり、車体も変える必要がある。実現には途方もない課題が山積みだが、中原さんは強い信念を持っている。

「以前の道路交通法では、6歳になったら自転車に乗せられないという決まりがありました。周囲からはそれを変更するのは絶対無理だと言われていたんです。でも声を上げ続けていたら、変えることができた。『おでかけじてんしゃ』もきっと実現すると考えています。自転車はとても気軽に移動できる便利なもの。だから、誰もが自由に使え、おでかけを始められるきっかけとなる自転車として、日本の文化にしたいんです」

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

起業の原点:1歳6カ月の双子が血まみれに

中原さんの起業のきっかけは、自身の体験にある。1歳6カ月の双子を乗せた自転車が転倒し、子どもが血まみれになる事故を経験。安全に子どもを乗せられる自転車の必要性を痛感し、自ら開発に乗り出した。教育費として貯めていた200万円を資本金に起業し、試行錯誤の末に「ふたごじてんしゃ」を完成させた。

現在も、試乗会などを通じてユーザーの声を直接聞き、改良を重ねている。令和6年度製品安全対策優良企業表彰式では、その取り組みが評価され受賞。今後の活動にも注目が集まる。