NTT(日本電信電話)は、光と電気を融合させた「光電融合技術」を活用し、データセンターの消費電力を大幅に削減する新システムを開発したと発表した。同技術により、従来の電気配線を用いたシステムと比較して、消費電力を約3分の1に抑えることができるという。
光電融合技術の仕組みと効果
光電融合技術は、データの伝送に光を用いることで、電気配線で生じる抵抗による発熱やエネルギー損失を低減する。NTTの研究所が開発したこのシステムは、シリコンフォトニクス技術をベースに、光配線と電子回路を同一チップ上に集積。これにより、高速・大容量のデータ伝送を実現しながら、消費電力を大幅に削減する。
具体的には、データセンター内のサーバー間やラック間の配線を光ファイバーに置き換えることで、従来の銅線配線に比べて伝送効率が向上。NTTの試算では、同技術を適用したデータセンターの消費電力は、従来比で約66%削減される見込みだ。
実用化のスケジュールと今後の展開
NTTは、2025年度をめどに本システムの実用化を目指している。まずは自社のデータセンターに導入し、その後、他社への販売や技術提供を検討する。同社の川添雄彦執行役員は「光電融合技術は、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する重要技術。データセンターの省電力化に加え、通信ネットワーク全体の効率化にもつながる」とコメントしている。
データセンターの消費電力は、AI(人工知能)やクラウドサービスの普及に伴い急増しており、世界的な課題となっている。国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、世界のデータセンターの電力消費量は2022年に約460テラワット時で、これは世界全体の電力消費の約2%に相当する。日本国内でも、データセンターの電力消費は増加の一途をたどっており、省電力技術の開発が急務となっている。
光電融合技術の応用範囲
NTTは、データセンター以外にも、光電融合技術を通信基地局や高性能コンピューティング(HPC)などに応用する計画だ。同技術は、次世代通信規格「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」の基盤技術としても位置づけられており、NTTはIOWNの実現に向けて開発を加速する方針。
光電融合技術は、従来の電子回路では限界があったデータ伝送速度と消費電力の両立を可能にする。NTTは、同技術の普及により、情報通信分野のエネルギー消費を大幅に削減できると期待している。



