日産自動車のコンパクトSUV「キックス」が大幅に進化した。新型キックスの開発では、デザインを「ゼロから考える」ことを決定。デザイナー陣は「本当に欲しいSUVとは?」という命題に取り組んだという。プログラムデザインダイレクターの楠鉄平さんがそのこだわりを語った。
塊で見せるデザイン手法
エクステリアデザインのコンセプトは「タフ&アジャイル」。アメリカンフットボールの選手のような力強さを持たせつつ、ダイナミックでありながら軽快で俊敏なデザインを目指した。楠さんは「塊の強さ、形の美しさを出したかった」と述べ、キャラクターラインを使ったグラフィカルな表現ではなく、塊としての動きや抑揚のあるシルエットで勝負したという。
ボディパネルの表面に浮かぶ「楕円形のリフレクション」はデザイン上のこだわりポイント。パーツの継ぎ目が少しでもずれるとリフレクションの連続性が崩れるため、生産現場と細かい調整を行った。
アメフト選手からインスパイア
フロントフェイスはアメフトのヘルメットから着想を得た。最近の日産車で定番の「Vモーション」の斜めの線は控えめで、縦に並んだシグネチャーランプが印象的。ヘルメットの頬をプロテクトする部分をイメージしており、オーバーハングを短く、車幅を広く見せる効果もあるという。
新型キックスがカッコよく見える理由の一つは、サイドウィンドウの下端より下が張り出し、キャビン部分が絞られた台形のような形状。下半身でしっかり踏ん張った安定感を演出している。
ボディサイズは全長4,365mm、全幅1,800mm、全高1,615mm(4WDは1,610mm)。先代比で全幅が40mm拡大した。
デザインと実用性のせめぎ合い
コンパクトSUVとして車内の広さを確保するため、キャビンを箱形に近づけるとずんぐりした印象になる。しかし新型キックスはダイナミックなスタイリングを追求。拡大した40mmの全幅を、スタンスの良さとマッシブなフェンダーに配分し、絶妙なバランスを探ったという。
力強さとリラックス感を両立したインテリア
インテリアはSUVらしく「しっかり守ってくれそうな形」を目指し、水平で安定したインストゥルメントパネルを設置。ただし力強すぎると圧迫感が出るため、自宅のようなリラックス感を求めてソフトな素材を各所に配した。ジャージーやフェルトのような感触の素材は、100以上を試して選定したという。
プラスチックむき出しの部分が少なく、高い質感を感じさせる車内に仕上がっている。



