三菱自動車工業の新型「パジェロ」は、写真で見るよりも実物の方が格好いいクルマだ。世界初公開の場でじっくりと新型パジェロを肉眼で観察し、三菱自動車がこのクルマに込めたデザイン哲学を探ってきた。
「格」「鍛」「純」で表すデザインフィロソフィー
新型パジェロのデザインは、三菱自動車の欧州スタジオ、東京スタジオ、岡崎スタジオの3拠点が参加したコンペティションで決まった。エクステリアは岡崎スタジオ、インテリアは欧州スタジオからの提案を採用したという。
プログラム・デザイン・ダイレクターの吉峰典彦さんによると、新型パジェロは従来のクロスカントリー車としての価値を継承しつつ、モダンさとエクスプローラー性を融合した「独創進化」を果たしているとのこと。デザインフィロソフィーは「格」「鍛」「純」の3つの漢字で表すことができるという。
「格」は剣道マスクに表れるパーソナリティー
「格」は三菱自動車のクルマが持つべき性格「パーソナリティー」を表現する。高い技術に裏打ちされた圧倒的な性能が、乗る人の心に余裕や寛容さを与え、自信をもって先に進もうとする勇敢さを芽生えさせてくれる、との説明だ。
それが最も顕著に表れているのがフロントフェイス。「剣道マスク」と呼ばれている力強い顔だ。両サイドのT字型ライトの間に取り付けられた6本の横桟グリルは、剣道の防具を思い起こさせる。日本のデザインスタジオが提案したデザインであることが一目でわかる顔つきだ。フロントグリルは横桟タイプとハニカムタイプの2種類を用意する。
ワールドプレミアの会場には、アクセサリーを装着した豪州仕様が展示されていた。フロントには、カンガルーなどの野生動物に衝突した際、クルマが致命的なダメージを受けて走行不能になるのを防ぐ丈夫な「カンガルーバー」(金属製)を装着。1990年代のRV(レクリエーショナル・ビークル)ブームの際には、本格的なオフロード感を演出するドレスアップパーツとして、当時のパジェロもこんなパーツを取り付けていたことを思い出した。展示車両は、渡河性能の向上や砂塵対策といった役割をはたすエアインテークシュノーケルまで装着している。
「鍛」は力強さ、そして「純」は機能美
「鍛」は三菱自動車が持つ高い走破性や動力性能、つまりは力強さ、たくましさを表す言葉。身体能力の高さを感じさせるプロポーション、タイヤがしっかりと大地に踏ん張った安定感、パワフルで筋肉質な塊感により、高い信頼性を提供するとの説明だ。全長4,920mm、全幅1,925mm、全高1,910mmと大きなクルマだが、四角く筋肉質で塊感のあるボディは引き締まって見える。
オフロードでの豪快な走りを想起させる前後のワイドなフェンダーには、255/55R20のトーヨータイヤ「オープンカントリーH/T」が収まる。スペアタイヤはボディの下だ。左右が盛り上がったボンネットの下には、コモンレール式DI-Dインタークーラー付きターボチャージャーで武装した「4N16型」2.4Lクリーンディーゼルエンジンが収まっている。最高出力は150kW、最大トルクは480Nmと強力だ。
「PAJERO」のロゴが刻まれたアンダーガードやフェンダー上部にある「PAJERO」のサイドロゴ、初代パジェロのロールバーから着想を得たCピラーなども見た目の力強さを増幅している。「純」はピュアリティーやファンクショナルビューティーを意味し、装飾的なパーツを過度に加えるのではなく、必要な部分で本物感や美しさを追求するという考え方だ。それが顕著に表れているのが、横桟式グリルからつながったシンプルなブラックの枠内に収まる前後の灯火類だ。デイライトは特徴的なT字型に美しく点灯し、さらにメインのプロジェクターヘッドライトは、障害物との接触を避けるため、そのT字内のちょっと奥まった位置に取り付けられて鋭く光るしつらえだ。



