「社名は知られていないが、誰もがその会社の製品を見たことがある」。それがJR西日本グループの一員でありながら、JRを社名に戴かない「関西工機整備」(本社:尼崎市)のひそかな自慢でもあった。しかし、これからは違う――。
10月1日から「JR西日本テクノサービス&デザイン」に社名を変更する。特に注目すべきは「デザイン」の4文字。わざわざ“&”という記号を付け加えたところにJR西日本のこだわりが見て取れる。
事業の柱はメンテナンスと「印刷」
関西工機整備の事業の柱は2つある。1つはJR西日本の総合車両所における鉄道車両部品のメンテナンスを中心とした事業。そしてもう1つは神戸・ポートアイランドを拠点に活動する印刷事業である。印刷といっても、単なる印刷にとどまらず、社内のデザイナーが顧客の要望に基づき最適なデザインを考え、印刷、加工・施工まで行い、業務の幅は広い。
同社の歴史をさかのぼると、印刷事業はメンテナンス業務から派生した。国鉄時代は改造した車両の車体番号や機器の名称などをペンキで手書きしていたが、国鉄末期頃には印刷したシールなどで対応するようになっていた。その延長で、同社はシールの作成を行うようになった。それが印刷事業の始まりだ。
コロナ禍契機に「グッズ製作」
コロナ禍を契機に、同社はグッズ製作にも乗り出した。鉄道ファンに向けた商品展開で、路線図をアートとして販売する「路線図アート」はその一例だ。同社のエグゼクティブデザイナーである大森正樹氏が手がけるこのアートは、鉄道の路線図を独自のデザインで表現したもので、鉄道ファンの間で話題を集めている。
また、同社は西武鉄道の車両ラッピングや車内表示の施工も手がけており、その品質の高さから「グッドデザイン賞」を受賞している。
印刷事業の成長と「後継」育成狙う
今回の社名変更には、印刷事業の成長と後継者育成の狙いがあるとされる。JR西日本出身の春名隆志社長が就任し、デザイン部門を強化することで、新たな顧客層の開拓を目指す。
「影武者」から主役へ――。同社はこれまで、JR西日本のグループ企業として縁の下の力持ち的な存在だったが、デザインを前面に打ち出すことで、独自のブランドを確立しようとしている。



