オークションに登場した伝説のスーパーカー
1970年代の日本で巻き起こった「スーパーカーブーム」で絶大な人気を誇ったのが、「デ・トマソ・パンテーラ」である。令和の東京で実物を見る機会があったので、昭和の子供たちを熱狂させた人気者をじっくり観察してきた。オークションハウス「BINGO」が開催した「BH AUCTION TOKYO 06.21 at City Circuit Tokyo Bay」に出品された1973年製の個体だ。
デ・トマソ・パンテーラの誕生背景
イタリアの自動車メーカー「デ・トマソ」が開発し、米国のフォードが資金やエンジン供給、販売網をバックアップしたのが、1971年にデビューした「パンテーラ」である。イタリアンデザインとアメリカンマッスルが融合したモデルといえる。ボディは名門カロッツェリア「ギア」に所属していた米国人デザイナー、トム・ジャーダが担当。直線基調で低くワイドなウェッジシェイプが特徴だ。
シャシーは他のスーパーカーのような鋼管スペースフレームではなく、量産車に多いスチールモノコックを採用。リアミッドに縦置きで搭載するエンジンは、イタリアンV12のような複雑なものではなく、タフで信頼性のあるアメリカンV8だった。フェラーリやランボルギーニのような高価なクルマではなく、それらの半額近い価格で手に入れることができるスーパーカーというのが、デ・トマソ・パンテーラのコンセプトである。
パワートレインとパフォーマンス
パワートレインはフォード製のV型8気筒OHV「351クリーブランド」で、総排気量は351キュービックインチ=5.7L。最高出力は330PS~335PS、最大トルクは45.0~47.5kgmを発生し、レーシングカーのフォード「F40」やライバルの「カウンタック」などに搭載されていたZF製5速トランスミッションを組み合わせていた。アメリカンV8らしいドロドロとした重低音を発しながら、そのパフォーマンスは0-60マイル(96km/h)加速5.5秒~5.8秒、最高速度254km/h~260km/hで、より高価なV12エンジン搭載スーパーカーに伍する性能を発揮した。
展示車両の特徴とカスタマイズ
展示車両は1973年製の個体。オーナーの手によって1970年代のル・マン24時間レースに登場した「グループ4」仕様のアグレッシブなオーバーフェンダーが装着されている。リトラクタブルヘッドライトはワンオフのヘッドライトに換装済み。ホイールをENKEIのディープリム「HR385」とし、そのマッスルぶりを強調していた。インテリアはメーター類はオリジナルながら、センターコンソールはアルミパネルに必要最小限のメーターとスイッチを配することでレーシーな雰囲気を作り出している。エンジンは1996年に日本で4.94Lに交換された記録が残っていた。
オークション結果と価値
Estimate(落札予想金額)は1,500万円~1,700万円となっていたが、今回の入札でハンマープライスには至らなかったようだ。この個体はかなり手が入っており、オリジナル状態からの変更点が多いが、スーパーカーブームの象徴としての価値は高い。



