NTTドコモの金融・決済ビジネスを担う持ち株会社「NTTドコモ・フィナンシャルグループ(ドコモFG)」が7月1日に正式に事業を開始した。7月9日には記者会見が開かれ、代表取締役社長の廣井孝史氏が今後の戦略を説明。「最もお客様に支持されるデジタル金融グループを作り、日本の金融を変えていきたい」と意気込みを語った。
ドコモFGの概要とグループ会社
ドコモFGは、住信SBIネット銀行(8月にドコモSMTBネット銀行へ社名変更予定)、保険のドコモ・インシュアランス、ローンのドコモ・ファイナンス、証券のマネックス証券を傘下に収める。さらに、ドコモ本体が運営してきたd払い、dカード、iDといった決済サービスもグループで一貫して提供する。
これまでドコモは銀行業を保有していなかったが、住信SBIネット銀行の買収を機に金融行政への対応を目的としてドコモFGを設立。金融持ち株会社として後発ながら、ドコモは2004年におサイフケータイ、2005年にiD/DCMX(現dカード)を立ち上げるなど、20年以上にわたり金融・決済領域で実績を積んできた。
強みは高資産顧客基盤とデータ活用
廣井社長は、ドコモFGの強みとして「資産形成余力のある顧客との接点」を挙げる。dカードの上位カード(GOLD、PLATINUM)の契約件数は約1,200万件、ドコモSMTBネット銀行の1口座あたり預金は約120万円、マネックス証券の1口座あたり預かり資産は約404万円、ドコモ・ファイナンスの平均融資残高は約100万円と、いずれも競合を上回る水準だという。
これらの数字をさらに拡大するため、1億900万人のdポイントクラブ会員基盤と、ドコモの通信サービスなどから得られる膨大なデータを活用。また、全国に展開するドコモショップの店舗網を金融サービスに活用する。廣井社長は、調査で金融知識に不安を感じる人が多く、専門家のアドバイスを求める傾向が強いと説明。NISA未利用者の約8割が「身近に相談できる場所がない」と回答したことから、ドコモショップでの対面サポートを強化する。
銀行・証券サービスをドコモショップで展開
2026年1月からは一部のドコモショップで証券総合取引口座やNISA口座の開設、NISAに関するスマホ教室を開始。同年8月からは銀行口座の開設と初期設定、ネット銀行に関するスマホ教室も展開する。銀行サービスは、ドコモショップ1,000店舗と銀行フランチャイズ店舗500店舗の計1,500店舗規模で提供。現在、住信SBIネット銀行のフランチャイズ店舗は75店舗だが、8月からドコモショップ198店舗が加わり、2030年までに1,500店舗に拡大する計画だ。住信SBIネット銀行の円山法昭社長は「早ければ年度内に1,000店舗達成もあり得る」と述べた。
証券口座の取り扱いには金融サービス仲介業のライセンスが必要で、銀行口座に比べて拡大は遅れる見込みだが、順次体制を整える方針。
シナジー効果でdポイント還元を強化
グループ内サービスの利用を促進するため、dカードと「ドコモの銀行」の利用者には最大3%、さらにマネックス証券を併用すると最大4.5%のdポイント還元を提供。住宅ローン契約時にドコモ回線を利用するとdポイントを進呈する特典も予定している。
ドコモFGは、決済から銀行、証券、ローン、保険まで一気通貫のサービスを提供。法人向けBaaS事業も含め、まずは規模拡大を図る。成長戦略として、ステーブルコイン決済やマイクロサブスクリプションなどの次世代決済、決済データに基づく即時与信によるレンディングやBNPL(Buy Now, Pay Later)を展開。2030年度には売上高を2025年度の5,965億円から倍増の1.2兆円に拡大する目標を掲げる。
「やさしい金融」を掲げるドコモFGが、KDDIのauフィナンシャルホールディングスやソフトバンクのPayPay金融グループなど競合に対抗し、代理店の負担増やdアカウントの課題などをどう解決するか注目される。



