トヨタの新型燃料電池EV「MIRAI」、航続距離850kmで発売
トヨタ新型MIRAI、航続850kmで発売

トヨタ自動車は12月18日、新型燃料電池車(FCV)「MIRAI」を発売する。最大の特長は、一回の水素充填での航続距離が約850kmに達し、従来型の約650kmから30%以上向上した点だ。価格は726万円(税込)からで、政府の補助金を活用すれば実質600万円台での購入が可能となる。

航続距離向上の要因

航続距離延長の背景には、燃料電池スタックの小型化・高性能化がある。トヨタはセル内部の構造を最適化し、出力密度を従来比で1.4倍に高めた。また、水素タンクの容量を増やしつつ、車体の軽量化も進めた。これらの改良により、850kmという実用的な航続距離を実現した。

トヨタの担当者は「新型MIRAIは、ガソリン車と同等の利便性を提供できる。航続距離の不安を解消し、より多くの顧客にFCVの魅力を伝えたい」と述べている。

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価格と販売戦略

新型MIRAIの価格帯は、グレードにより726万円から816万円。政府のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(最大約80万円)に加え、東京都など自治体の上乗せ補助を利用すれば、実質負担はさらに低減される。トヨタは年間販売目標を約3,000台と設定。法人向けリースや自治体への納入を中心に販売を拡大する計画だ。

水素インフラの課題

FCV普及の最大の障壁は水素ステーションの不足である。現在、国内の水素ステーションは約160か所にとどまり、特に地方での整備が遅れている。経済産業省は2030年までに1,000か所への拡大を目標に掲げるが、設置コストの高さが課題だ。1基あたりの建設費は約4億円とされ、事業採算性の確保が難しい。

トヨタは、水素ステーション運営会社への出資や、自治体との連携によるインフラ整備を支援している。また、燃料電池技術をトラックやバスなど商用車にも展開し、需要創出を図る方針だ。

競合と市場環境

FCV市場では、ホンダが「クラリティ フューエル セル」を販売するが、販売台数は限定的。一方、現代自動車は「NEXO」を投入し、欧州や韓国で販売を強化している。世界的には、中国がFCVの普及に積極的で、2030年までに100万台の導入目標を掲げる。

トヨタは、水素社会の実現に向け、FCVだけでなく水素エンジンの開発も進めている。2023年のスーパー耐久シリーズでは、水素エンジンを搭載した車両が実戦投入された。これらの取り組みが、水素エネルギー全体の認知向上につながると期待される。

今後の展望

新型MIRAIの成功は、水素インフラの整備状況に大きく左右される。トヨタは、2025年までに水素関連事業で1兆円の売上を目指すと発表。燃料電池システムの外販も視野に入れ、鉄道や船舶、発電設備などへの応用を模索している。

「水素はカーボンニュートラルの切り札だ。技術開発とインフラ整備を両輪で進め、持続可能な社会に貢献したい」とトヨタの幹部は語る。新型MIRAIがその先駆けとなるか、市場の反応が注目される。

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