トヨタ自動車は、コンパクトSUV「C-HR」を2026年にフルモデルチェンジし、EV(電気自動車)専用車として投入する方針を固めた。現行モデルはハイブリッド(HV)とプラグインハイブリッド(PHV)をラインアップしているが、次世代ではガソリンエンジンを廃し、BEV(バッテリー式電気自動車)に一本化する。これはトヨタの電動化戦略の転換点を示す動きとなる。
EV専用プラットフォームを採用
新型C-HRは、トヨタが開発中の次世代EV向けプラットフォーム「e-TNGA」の改良版を採用する。このプラットフォームは、スバルとの共同開発によるもので、航続距離の延長と低コスト化を両立する。トヨタ関係者によると、新型C-HRの航続距離は約500km(WLTCモード)を目標としており、競合する日産「アリア」やヒョンデ「アイオニック5」に対抗する。
また、バッテリーはリン酸鉄リチウムイオン(LFP)を採用し、コスト低減と安全性向上を図る。LFPはニッケル系に比べてエネルギー密度は低いが、トヨタは独自のセル・パック構造で航続距離を確保する。生産はトヨタの愛知県内の工場を予定しており、年間生産台数は5万~6万台を見込む。
デザインと装備の刷新
エクステリアは、2022年に公開されたコンセプトカー「C-HR Prologue」のデザインを進化させ、より空力性能を重視した形状となる。室内は12.3インチの大型ディスプレイを採用し、最新のコネクティッドサービスに対応。運転支援システム「Toyota Safety Sense」は第3世代にアップデートされ、高速道路でのハンズオフ運転が可能になる。
価格は現行のHVモデルよりやや高めの400万円台前半を想定。政府のEV補助金を活用すれば、実質350万円台での購入も可能になる。トヨタは2025年までに世界で30車種のEVを投入する計画で、C-HRはその中核を担う一台となる。
競合と市場への影響
国内のコンパクトEV市場では、日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」が軽EVとして先行しているが、C-HRは一回り大きいBセグメントに位置づけられる。トヨタの販売網を活用し、年間販売目標は国内2万台、欧州3万台を掲げる。欧州では排ガス規制強化に伴い、EV需要が急拡大しており、C-HRの投入はタイムリーとされる。
一方で、トヨタはHVからEVへの急速なシフトに慎重な姿勢も見せており、C-HRのEV専用化はあくまで限定的な実験と見る向きもある。トヨタの広報担当者は「C-HRは若年層に人気のモデルであり、EVの魅力を広げる役割を期待している」とコメントしている。



