トヨタと日産の新型EV戦略比較:競争激化で日本勢の生き残り策
トヨタと日産の新型EV戦略比較:競争激化で生き残り策

トヨタ自動車と日産自動車が相次いで新型電気自動車(EV)を発表し、世界市場での競争が一段と激化している。両社は中国や欧米メーカーに後れを取る中、独自技術とコスト削減で巻き返しを図る戦略を打ち出している。

トヨタの新型EV「bZ4X」とその戦略

トヨタは2022年に発売したSUV型EV「bZ4X」に続き、2026年までに10車種以上の新型EVを投入する計画だ。同社は2030年までに年間350万台のEV販売を目標に掲げており、そのうち約半分を中国市場で販売する方針を示している。トヨタのEV戦略の核となるのは、次世代型の「e-TNGA」プラットフォームだ。このプラットフォームは、モーターやバッテリーの配置を最適化し、車両の低重心化や室内空間の拡大を実現する。また、トヨタは全固体電池の実用化を目指しており、2027年から2028年には搭載車両を投入する予定だ。全固体電池は現在のリチウムイオン電池に比べて航続距離が2倍以上になり、充電時間も10分以内に短縮されるとされる。

日産の新型EV「アリア」と戦略の転換

一方、日産は2021年に発売したSUV型EV「アリア」に続き、2025年までに欧州で3車種の新型EVを投入する計画だ。日産は2030年までにEVとハイブリッド車(HV)の販売比率を75%に引き上げる目標を掲げている。同社は「日産EV36Zero」プロジェクトを推進し、EV生産の効率化を図っている。このプロジェクトでは、バッテリー工場を車両工場に隣接させることで物流コストを削減し、再生可能エネルギーの活用によりカーボンフットプリントの低減を目指す。また、日産は2028年までに全固体電池の量産化を目指しており、航続距離の大幅な向上とコスト削減を実現する計画だ。

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競争激化の中での日本勢の課題

世界のEV市場では、中国の比亜迪(BYD)や米国のテスラが先行している。BYDは2022年に約186万台のEVを販売し、世界シェアでトップに立った。テスラも約131万台を販売し、両社で世界市場の約3分の1を占める。一方、トヨタのEV販売台数は2022年に約2万4000台、日産は約1万6000台と大きく水をあけられている。日本勢の課題は、EV専用プラットフォームの開発遅れや、バッテリー調達コストの高さにある。また、充電インフラの整備が進んでいないことも、EV普及の障壁となっている。

日本政府の支援と業界の動き

日本政府はEV普及を促進するため、2035年までに新車販売の100%を電動車にする目標を掲げている。2023年度からはEV購入補助金を拡充し、最大85万円の補助金を支給している。また、充電インフラ整備にも補助金を出しており、2030年までに急速充電器を3万基設置する計画だ。業界団体の日本自動車工業会は、EV普及に向けた共同取り組みとして、充電規格の統一やバッテリーリサイクルシステムの構築を進めている。

今後の展望:生き残りをかけた戦い

トヨタと日産は、それぞれの強みを生かしたEV戦略で巻き返しを図る。トヨタはハイブリッド技術で培った電動化技術をEVに応用し、全固体電池の早期実用化で差別化を狙う。日産はリーフで培ったEV技術と、アライアンスを組むルノーとの協業でコスト競争力を高める。しかし、中国や欧米メーカーの攻勢は激しく、日本勢が生き残るためには、技術革新とコスト削減をさらに加速する必要がある。専門家は「日本メーカーがEV市場で存在感を示すには、2025年までに競争力のある車種を投入できるかが鍵」と指摘する。

世界のEV市場は2023年に約1000万台規模に拡大し、2030年には3000万台を超えると予測される。日本勢がこの成長市場でシェアを拡大できるかどうかは、今後の戦略次第だ。

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