東北大、磁石不要のEV用モーター開発 レアアース削減へ
東北大、磁石不要のEV用モーター開発 レアアース削減へ

東北大学は、電気自動車(EV)向けに磁石を一切使わない新方式のモーターを開発したと発表した。このモーターは、従来の永久磁石型モーターに比べて出力密度を約1.5倍に高めながら、レアアース(希土類)を全く使用しない点が最大の特長。研究チームは、2030年代の実用化を視野に入れている。

新方式「シンクロナスリラクタンスモーター」の革新性

開発されたモーターは「シンクロナスリラクタンスモーター」と呼ばれる方式を採用。回転子に磁石の代わりに鉄心の突起を配置し、その突起と固定子の磁界との間に生じる磁気抵抗の差を利用してトルクを発生させる。これにより、磁石が不要となり、レアアースの使用を完全に排除できる。

従来のシンクロナスリラクタンスモーターは、トルク密度が低く、出力が小さいという課題があった。東北大学の研究チームは、固定子の巻線方法を最適化し、回転子の形状を改良することで、出力密度を従来比で約1.5倍に向上させることに成功した。具体的には、固定子に集中巻を採用し、回転子には独自の「フラックスバリア」構造を導入。これにより、磁束の流れを制御し、高トルクを実現した。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

レアアース問題とEV市場へのインパクト

現在のEV用モーターの多くは、ネオジム磁石などのレアアース磁石を使用している。レアアースは中国に偏在しており、供給リスクや価格高騰が課題。特に、EVの普及拡大に伴い、レアアース需要は急増しており、安定供給の確保が業界全体の課題となっている。

東北大学の開発した磁石不要モーターは、こうしたレアアース問題を根本的に解決する可能性を秘めている。研究を主導した同大学大学院工学研究科の教授は「レアアースを使わず、高い出力密度を実現したことで、EVのコスト低減と資源リスクの軽減に貢献できる」とコメントしている。

実用化への道筋と今後の課題

研究チームは、現在の試作機の出力密度をさらに向上させるとともに、量産化に向けたコスト低減や耐久性の検証を進める方針。2025年までに実用化に向けた技術の目途をつけ、2030年代の早期実用化を目標としている。

ただし、実用化にはいくつかの課題も残る。シンクロナスリラクタンスモーターは、磁石式に比べて制御が複雑で、高速回転時の効率低下や騒音・振動の問題が指摘されている。東北大学では、これらの課題に対して、インバータ制御技術の高度化や、回転子構造のさらなる最適化で対応する考えだ。

また、自動車メーカーとの連携も重要となる。研究チームは、複数の自動車メーカーと共同研究を進めており、実際のEVへの搭載を視野に入れた開発を加速する。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ