タイの自動車市場で電気自動車(EV)への移行が急速に進み、中国自動車メーカーが市場を席巻している。2024年上半期の新車販売台数に占めるEVの割合は約12%に達し、前年の約8%から急増。特に中国ブランドのEVが全体の約60%を占め、日本メーカーは苦戦を強いられている。
中国勢の躍進と日本メーカーの苦境
タイ自動車協会のデータによると、2024年1~6月のEV販売台数は約3万5000台で、前年同期比で約2倍に拡大。このうち中国のBYDが約1万2000台で首位、続いて長城汽車(GWM)が約8000台、上海汽車(SAIC)が約5000台と、中国勢がトップ3を独占した。一方、日本メーカーでは日産が約1000台で4位、トヨタが約500台で5位と、存在感は薄い。
タイ政府のEV推進政策
タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げ、購入補助金や輸入関税の引き下げなど積極的な優遇策を実施。これにより、中国メーカーが低価格EVを投入しやすくなっている。例えばBYDの「ATTO 3」は約100万バーツ(約400万円)で販売され、同クラスのガソリン車と競合する価格帯を実現している。
日本メーカーの対応と課題
日本メーカーはこれまでハイブリッド車(HV)で優位に立ってきたが、EVシフトへの対応が遅れている。トヨタはタイで「bZ4X」を販売しているが、価格は約180万バーツと中国勢の倍近く。また、充電インフラの整備も課題で、タイ全土の充電スタンドは約2000か所と、中国の約100分の1にとどまる。
今後の展望
タイ自動車研究所のアヌポン所長は「日本メーカーがEV市場で巻き返すには、価格競争力と充電インフラの整備が不可欠だ」と指摘。一方で、中国勢の急速なシェア拡大に対して、タイ政府は「過度な依存を避けるため、日本メーカーを含む多様なプレーヤーの参入を促進する」と述べている。今後の市場動向が注目される。



