東南アジアEV市場、中国勢の攻勢が止まらない
東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーの存在感が急速に高まっている。タイやインドネシアを中心に、BYDや上海汽車などの中国大手が積極的に進出し、現地生産を開始している。これに対し、長年この地域で強みを持ってきた日本メーカーは、EVシフトの遅れから苦戦を強いられている。
中国メーカーの戦略:現地生産と低価格
中国メーカーは、東南アジア諸国との自由貿易協定(FTA)を活用し、部品の関税を抑えながら現地組み立てを進めている。特にタイでは、政府のEV普及政策「EV3.5」に後押しされ、BYDや長城汽車が工場を稼働。補助金や税制優遇を追い風に、日本車より2~3割安い価格帯で販売を拡大している。
インドネシアでも、ニッケル資源を活かしたバッテリー生産と連携し、中国勢がサプライチェーンを構築。現地政府の「EVエコシステム構築計画」に沿い、部品から完成車まで一貫生産を目指す動きが加速している。
日本メーカーの苦境と巻き返しの模索
トヨタやホンダなど日本メーカーは、ハイブリッド車(HV)で高いシェアを誇るが、EVでは中国勢に出遅れている。タイでは日本車のEV販売シェアが5%未満にとどまり、中国勢が7割以上を占める。日本勢は、2025年以降に新型EVを投入する計画だが、価格競争で劣るため、HVとの共存戦略を模索している。
一方、日産はタイで「リーフ」の生産を継続し、三菱自動車も「eKクロスEV」の投入を検討。しかし、中国勢の低価格攻勢に対抗するには、現地生産の拡大やコスト削減が不可欠とされる。
東南アジア各国の政策と市場の将来
タイ政府は2030年までに国内生産の30%をEVにする目標を掲げ、購入補助金や法人税減免を実施。インドネシアも2025年までにEV販売シェア20%を目指し、バッテリー産業の誘致に力を入れる。マレーシアやベトナムでも、中国勢の進出を受け、国内メーカーがEV生産に乗り出している。
市場調査会社によると、東南アジアのEV販売台数は2023年に前年比2倍の約9万台に達し、2025年には30万台を超える見通し。中国勢のシェアはさらに拡大すると予想され、日本メーカーは戦略の見直しを迫られている。
こうした中、日本政府はASEANとの連携強化を打ち出し、EV普及に向けた協力を提案。しかし、中国の地政学的影響力が強まる中、日本勢の巻き返しは容易ではない。



