メルセデス・ベンツは、電気自動車(EV)シフトにおいて中国市場での苦戦を打破するため、新たなバッテリーEVモデルを投入し、戦略を抜本的に見直す方針だ。同社は中国市場でのEV販売比率を2025年までに50%に引き上げる目標を掲げており、今回の取り組みはその達成に向けた重要な一歩となる。
中国市場でのEV販売低迷
メルセデス・ベンツは中国市場でEV販売が低迷しており、2023年の中国でのEV販売台数は全体の約10%にとどまっている。同社は中国市場での競争力強化を急務としており、新たなEVモデルの投入により、テスラや中国の新興EVメーカーに対抗する方針だ。
同社の中国法人は、2024年から2025年にかけて、複数の新型バッテリーEVを投入する計画を明らかにした。これらのモデルは、中国市場の需要に合わせて設計され、航続距離や充電性能を大幅に向上させるという。
戦略転換の背景
メルセデス・ベンツはこれまで、中国市場で内燃機関車の販売に注力してきたが、中国政府のEV推進政策や消費者のEV志向の高まりを受けて、戦略転換を迫られている。中国では2023年の新車販売の約25%がEVであり、2030年までに50%に達すると予測されている。
同社の中国最高経営責任者(CEO)は、「中国市場は世界で最も重要なEV市場であり、当社のEV戦略の成否を左右する。新モデル投入により、中国のEV市場での存在感を高めたい」と述べている。
新モデルの詳細
新モデルは、メルセデス・ベンツの次世代EVプラットフォーム「MMA」を採用し、航続距離は最大750キロメートルを実現する。また、800ボルトの急速充電に対応し、15分の充電で400キロメートル走行可能となる。
価格帯は30万元(約600万円)から50万元(約1000万円)と、中国のプレミアムEV市場で競争力のある価格設定を目指す。また、中国の消費者向けに、自動運転機能や車載エンターテインメントシステムを強化する。
中国市場での競争
中国のEV市場では、BYDや蔚来汽車(NIO)などの地元メーカーが急速にシェアを拡大しており、メルセデス・ベンツなどの外資系メーカーは苦戦を強いられている。2023年の中国EV市場シェアは、BYDが約30%、蔚来汽車が約10%で、メルセデス・ベンツは約2%にとどまる。
メルセデス・ベンツは、ブランド力と品質で差別化を図り、高級EV市場での地位確立を目指す。同社は中国でのEV販売網を拡充し、2025年までに販売店を現在の2倍の200店舗に増やす計画だ。
今後の見通し
メルセデス・ベンツの中国市場でのEV戦略転換は、同社のグローバルEV戦略の重要なテストケースとなる。同社は2030年までに世界販売の50%をEVにする目標を掲げており、中国市場での成功が鍵を握る。
アナリストは、「メルセデス・ベンツが中国市場でEV販売を伸ばすには、価格競争力と現地ニーズに合わせた製品開発が不可欠だ。新モデルの投入でどの程度シェアを拡大できるか注目される」と指摘する。



