北海道千歳市の支笏湖で、透明度30メートルの湖を舞台にクリアカヤック体験を提供するオーシャンデイズ代表の板谷貴文さん(48)は、「ありのままの自然を伝え、次世代につないでいきたい」と語る。年間1万人以上の観光客が、原始の森に囲まれた静寂の中で、湖底に広がる幻想的な景観を楽しんでいる。
支笏湖ブルーとクリアカヤックの魅力
支笏湖は、穏やかな流れに揺らめく水草や湖底に横たわる倒木、光のカーテンに吸い込まれていくヒメマスやエゾウグイの群れが観察できる。青と緑のグラデーションに染まる湖面は、船底が透けたクリアカヤックから一望でき、一年を通じて“支笏湖ブルー”を楽しむことができる。
沖縄から支笏湖へ、人生を変えた出会い
札幌で育った少年時代、タンカーで世界を回っていた叔父の冒険譚に胸を膨らませ、「好きなことをやれ」という言葉が心に残っていた。21歳の時にトラック運転で貯めた50万円を手に沖縄へ渡り、ダイビングショップで下積み生活を送った。給料は3万円と厳しいながらも、お客様に喜んでもらえることにやりがいを見いだし、インストラクター資格を取得。7年後に札幌へ戻った後、支笏湖との出会いが人生を変える。
観光と環境保全の両立を目指して
真冬でも凍らない湖に潜ると、そこは音のない世界で、南国にはない魅力があった。ダイビングがきっかけで知り合った元テレビリポーターの女性と結婚し、32歳で支笏湖へ移住。湖畔にオーシャンデイズを設立し、沖縄のクリアカヤックを道内で初めて導入したことで、多くの観光客の心を掴んだ。現在は20人のスタッフと共に太古からの自然を守りながら、観光と環境保全の両立を使命としている。
支笏湖は、恵庭岳や樽前山、風不死岳など雄大な山々に囲まれた周囲40キロのカルデラ湖で、最大水深は363メートル。環境省の水質測定で過去11年連続1位に輝いた湖面のエメラルドグリーンは、“支笏湖ブルー”と呼ばれている。



