日本政府は、2035年までに新車販売の全てを電動車(電気自動車:EV、ハイブリッド車:HV、燃料電池車:FCV)とする目標を正式に発表した。この目標は、自動車産業の国際競争力強化と、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けた重要なマイルストーンと位置付けられている。
目標の背景と詳細
経済産業省が中心となり策定したこの目標は、2021年6月に閣議決定された「成長戦略実行計画」に基づくもの。政府は、2030年代半ばまでに全ての新車を電動車とする方針を掲げ、その具体的な工程表として2035年を期限とした。この目標には、従来のガソリン車やディーゼル車の新車販売を事実上禁止する意図が含まれている。
菅義偉首相(当時)は、2021年4月の気候変動サミットで、2035年までに新車販売を電動車にする目標を表明。その後、関係省庁と自動車メーカーとの調整を経て、正式な目標として決定された。政府は、充電インフラの整備や電池の国内生産体制強化など、関連施策をパッケージで推進する方針だ。
業界の反応と課題
日本自動車工業会は、政府の目標に対して「野心的な目標であり、業界としても電動化への取り組みを加速する」とコメント。一方で、充電インフラの整備や電力供給の安定化、バッテリーのコスト低減など、解決すべき課題も多いと指摘する。
トヨタ自動車は、ハイブリッド車や燃料電池車も電動車の一部と位置付け、多様な選択肢を提供する方針。一方、日産自動車はEVに特化した戦略を強化しており、2028年までに新型EVを20車種投入する計画を発表している。
国際的な動向との比較
世界各国でも、ガソリン車の新車販売禁止の動きが加速している。欧州連合(EU)は2035年までに内燃機関車の新車販売を実質禁止する方針を決定。米国カリフォルニア州も2035年までに新車販売をゼロエミッション車とする規制を導入している。
中国は、2035年までに新車販売の50%以上を電動車とする目標を掲げており、日本はより高い目標を設定したことになる。日本の自動車メーカーは、世界市場での競争力を維持するために、電動化への対応を急ぐ必要がある。
経済的影響と雇用
自動車産業は日本の基幹産業であり、関連雇用は約550万人に上る。政府は、電動化による産業構造の変化に対応するため、部品メーカーや関連中小企業の支援策を強化する方針。具体的には、電動車部品の研究開発補助金や、人材育成プログラムの拡充が検討されている。
また、ガソリン車から電動車への移行に伴い、ガソリンスタンドや給油所の減少が予想され、地域経済への影響も懸念される。政府は、充電インフラの整備と併せて、既存の給油所を充電ステーションに転換する支援も行う予定だ。
今後の展望
政府は、2035年目標達成に向けて、2025年までに充電インフラを現在の約3万基から15万基に増やす計画。また、全固体電池など次世代電池の開発促進にも力を入れ、国内での電池生産能力を2030年までに現在の約20倍に引き上げる目標を掲げている。
自動車メーカー各社も、巨額の投資を計画。トヨタは2030年までに電動車関連に4兆円、日産は2兆円の投資を発表している。これらの投資が実を結び、日本の電動車普及が世界をリードするかどうかが注目される。



