EVシフトの岐路に立つ日本、中国勢の猛攻で競争激化
EVシフト岐路、中国勢猛攻で競争激化

日本の自動車産業は、電気自動車(EV)シフトにおいて重大な岐路に立たされている。中国メーカーの低価格EV攻勢やテスラの台頭により、ガソリン車で築いてきた優位性が揺らぎつつある。

中国勢の低価格戦略が市場を変える

中国のEVメーカー、BYDは2023年に世界販売で約302万台を記録し、テスラの約181万台を上回った。BYDは「シー」シリーズなどの低価格モデルを投入し、日本市場にも参入。2024年1月には「ドルフィン」を約363万円で発売し、補助金を考慮すれば300万円台前半で購入可能だ。これに対し、日産のリーフは約420万円からと価格差が明確だ。

また、中国のEVメーカーは電池技術でも優位に立つ。CATL(寧徳時代)は世界シェア約37%を占め、低コストで高性能なリン酸鉄リチウムイオン電池を量産。日本のパナソニックはテスラ向け供給で存在感を示すが、シェアは約7%と差が開いている。

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日本の強みと課題

日本メーカーはハイブリッド車(HV)で強みを持つが、EVでは出遅れた。トヨタは2023年のEV販売が約10万台と、全体の1%未満。同社は2026年までにEV販売を150万台に引き上げる計画だが、中国勢の勢いには遠く及ばない。一方、日産は2026年までにEV販売比率を40%に引き上げる目標を掲げ、自社開発の全固体電池を2028年までに実用化する方針だ。

部品サプライヤーも影響を受ける。デンソーはEV向けの熱管理システムやインバーターに注力するが、ガソリン車向け部品の需要減少に直面。2023年度の売上高は約6.3兆円と堅調だが、EVシフトの加速で部品構成の変化が迫られる。

政府の支援とインフラ整備

日本政府は2035年までに新車販売を全て電動車(EV、HV、PHEV、FCV)とする目標を掲げる。2024年度予算ではEV購入補助金に約1,200億円を計上し、充電インフラ整備にも約1,000億円を投じる。しかし、充電器の設置数は約3万基と、中国の約260万基や欧州の約50万基に比べて大幅に少ない。

経済産業省は「蓄電池産業戦略」を策定し、2030年までに国内電池生産能力を150GWhに拡大する目標を掲げる。これはEV約300万台分に相当するが、CATLは単独で同水準の生産能力を持つ。

生き残りをかけた提携と技術革新

日本メーカーは提携で巻き返しを図る。トヨタは2023年に中国のBYDと合弁会社を設立し、EV向けバッテリーの共同開発を進める。また、日産とホンダは2024年3月、EV分野での協業を検討することで合意した。ソニー・ホンダモビリティは2025年に高級EV「アフィーラ」を発売予定で、ソニーのセンサー技術を活用する。

電池技術では、全固体電池の実用化が鍵を握る。トヨタは2027~2028年の実用化を目指し、航続距離を従来比2倍以上に延ばす計画。日産も同様の目標を掲げるが、量産化にはコスト低減が課題だ。

日本の自動車産業は、EVシフトで競争力を維持できるか、正念場を迎えている。

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