世界的な電気自動車(EV)シフトが加速するなか、従来のガソリン車の販売を継続しながら環境負荷を低減する新技術が注目を集めている。自動車メーカー各社は、エンジン効率の向上や合成燃料(e-fuel)の開発に注力しており、EV一辺倒ではない多様なアプローチが浮き彫りとなっている。
ガソリン車の存続と環境対策の両立
国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2025年時点での世界の新車販売に占めるEVの割合は約18%にとどまっており、依然としてガソリン車が主流である。こうした状況下、自動車メーカーはガソリン車の燃費向上や排出ガス削減技術の改良を進めている。特に、マツダはロータリーエンジンを発電用に搭載したプラグインハイブリッド車(PHEV)を発売し、ガソリン車の延命策として注目を浴びている。
合成燃料の可能性と課題
合成燃料は、二酸化炭素(CO2)と水素から製造されるカーボンニュートラルな燃料で、既存のガソリン車にそのまま使用できる利点がある。ポルシェやシェルなどが実証プラントを稼働させており、2026年には商業生産開始を目指している。一方で、コストは従来のガソリンの10倍以上と高く、大量生産には再生可能エネルギー由来の水素確保が課題だ。日本政府も2025年度に合成燃料の普及に向けた実証事業を開始する方針で、自動車業界の脱炭素化に弾みをつけると期待される。
自動車メーカーの戦略の多様化
トヨタ自動車は、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、水素燃料電池車(FCV)など、多様なパワートレインを併売する戦略を継続している。2025年6月には、水素エンジンを搭載した試作車の走行試験を公開し、内燃機関の可能性を模索する姿勢を示した。また、日産自動車はEVに特化する一方、ルノーとの提携で小型ガソリンエンジンの共同開発を進め、新興国市場向けに低コスト車を提供する方針だ。
新興国市場の需要と政策の影響
新興国では、充電インフラの整備遅れや価格の高さからEV普及が進まず、ガソリン車の需要が根強い。インドでは2025年に新車販売台数が過去最高を記録し、その大半がガソリン車だった。中国政府はEV補助金を縮小し、プラグインハイブリッド車(PHEV)への支援を強化する動きを見せており、ガソリン車の延命につながるとの見方もある。こうした状況を受け、欧州連合(EU)は2035年以降の内燃機関車新車販売禁止を維持する一方、合成燃料を使用する車両は例外とする方針で、ガソリン車の存続に道を開いている。
環境団体の反応と今後の展望
環境団体は、ガソリン車の継続販売に対して批判的な立場を崩していない。グリーンピースの担当者は「合成燃料の実用化には時間がかかり、コストも高い。EVシフトを加速すべきだ」と指摘する。一方で、自動車業界からは「多様な選択肢を提供することが、全体のCO2削減につながる」との声が上がる。脱炭素化の道筋は、EVだけではなく、技術の進化と市場のニーズに応じた柔軟な戦略が求められている。



