電気自動車(EV)へのシフトが加速する中、自動車部品の調達構造が大きく変化している。内燃機関(エンジン)関連部品の需要が減少する一方、バッテリーやモーター、インバーターなどEV特有の部品需要が急増。これにより、従来のサプライヤーは生き残りをかけた淘汰の波に直面している。
エンジン部品メーカーに迫る危機
エンジン用ピストンやバルブ、燃料噴射装置などを手がける部品メーカーは、EVシフトに伴い主要顧客からの受注が減少。ある大手部品メーカーの幹部は「エンジン車の生産台数がピークアウトしたことで、部品の受注も減少傾向にある。新たな事業領域への転換が急務だ」と語る。
日本自動車部品工業会の統計によると、2022年度の国内自動車部品出荷額は前年度比5%増の約9兆円だったが、エンジン関連部品に限れば微減。一方、EV関連部品は同30%増と急成長している。
EV関連部品へのシフト加速
こうした中、多くの部品メーカーはEV関連事業へのシフトを加速。例えば、デンソーは2025年までにEV向け製品の売上高を全体の30%に引き上げる目標を掲げる。また、アイシンはモーターやインバーターの生産能力を増強している。
しかし、新規参入も相次ぎ競争は激化。中国や韓国のバッテリーメーカーが自動車メーカーとの直接取引を拡大しており、日本の部品メーカーは価格競争力や技術面で差別化を迫られている。
業界再編の動き
部品調達の変化は、業界再編も促進している。2023年には、日立Astemoとケーヒン、昭和電工の自動車部品事業の統合が発表された。こうした再編により、EV関連部品の開発・生産効率を高める狙いがある。
専門家は「今後5年で現在の部品サプライヤーの3割が事業縮小や撤退を余儀なくされる可能性がある」と指摘。特に、エンジン部品に特化した中小企業は厳しい状況に立たされている。
地域経済への影響
部品メーカーの淘汰は、地域経済にも影響を与える。愛知県や静岡県など自動車産業の集積地では、部品メーカーの工場閉鎖や雇用削減が懸念されている。ある自治体の担当者は「地元企業のEV対応を支援するため、補助金制度や技術研修を強化している」と話す。
一方、EVシフトを好機と捉える企業もある。例えば、モーター用磁性材料の生産に強みを持つ企業は、EV向け需要の拡大を受けて増産投資を実施。こうした企業は業績を伸ばしている。



