EVシフトで変わる自動車産業、部品メーカーの生き残り戦略
EVシフトで変わる自動車部品メーカーの戦略

世界的な電気自動車(EV)シフトの波が、自動車産業のサプライチェーンを根底から揺るがしている。エンジンやトランスミッションなど、内燃機関車(ICE)に不可欠な部品を手掛けてきたメーカーは、需要減少に直面する一方で、EV向けの新たな部品やシステムの開発を迫られている。

エンジン部品需要の減少とEV部品へのシフト

日本経済新聞の報道によると、2023年度の国内自動車部品出荷額は、EV化の影響でエンジン関連部品が前年比で約10%減少したと見られる。一方で、モーターやインバーター、バッテリー関連部品は急増しており、部品メーカー間で明暗が分かれている。

大手部品メーカーのデンソーは、エンジン関連部品の生産を縮小し、EV向けの熱管理システムやパワーエレクトロニクスに注力する方針を打ち出している。同社の広報担当者は、「2030年までにEV関連の売上比率を現在の2割から5割に引き上げる」と述べ、事業構造の転換を加速させている。

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新たな収益源の確保とM&A戦略

部品メーカーは、EVシフトに対応するため、M&Aや提携を通じて技術や生産能力を補完している。例えば、アイシンは2022年に独シェフラーと合弁会社を設立し、EV向けのeアクスル(電動駆動モジュール)の開発を強化した。また、住友電気工業は、EV用ワイヤーハーネスの生産能力を2025年までに倍増させる計画を発表している。

一方で、中小部品メーカーは資金力や技術力の不足から、生き残りが厳しい状況にある。東京都内の金属加工メーカーは、「EV向け部品の受注はあるが、設備投資が追いつかず、既存の取引先からの注文減を補えていない」と苦しい胸の内を明かす。

自動車メーカーとの関係変化

EV化は、自動車メーカーと部品メーカーの関係性も変えつつある。テスラや中国の新興EVメーカーは、部品の内製化を進めており、従来のような系列取引が崩れつつある。トヨタ自動車も、2026年までに次世代EVの部品コストを半減する目標を掲げ、部品メーカーに一層の価格競争を強いている。

専門家は、「部品メーカーは単なる部品供給者から、システム全体を提案できるパートナーへと変革する必要がある」と指摘する。例えば、モーターとインバーター、減速機を一体化したeアクスルは、自動車メーカーとの共同開発が不可欠であり、提案力が問われる。

今後の展望と課題

EVシフトは、自動車部品産業に百年に一度の変革をもたらしている。2023年の世界のEV販売台数は約1,400万台と、前年比35%増加しており、この流れは今後も加速すると予想される。部品メーカーには、技術革新への対応と、事業ポートフォリオの大胆な組み換えが求められている。

課題としては、巨額の研究開発費や設備投資の捻出、人材の確保・育成が挙げられる。特に、ソフトウェア人材の不足は深刻で、多くの部品メーカーが苦戦している。経済産業省の調査では、自動車部品メーカーの約6割が、電動化対応に必要な人材が不足していると回答している。

生き残りをかけた競争は、これから本格化する。部品メーカー各社は、自社の強みを活かしつつ、業界の枠を超えた連携や、新たなビジネスモデルの構築が求められている。

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