電気自動車(EV)の普及に伴い、世界の車載バッテリー市場は急速に拡大している。その一方で、中国企業の存在感が一層強まっており、世界市場における中国勢のシェアは約6割に達している。供給過剰による価格競争が激化する中、資源の確保や地政学的なリスクも浮上しており、日本企業の巻き返しが課題となっている。
市場拡大と中国勢の躍進
世界的なEVシフトを背景に、車載バッテリーの需要は年々増加している。特に中国は、EVの生産・販売台数で世界をリードしており、バッテリー市場でもその影響力は大きい。中国の大手バッテリーメーカーである寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)などが、世界市場で高いシェアを誇っている。
供給過剰と価格競争の激化
しかし、市場の急拡大に伴い、各社が相次いで生産能力を増強した結果、供給過剰の懸念が強まっている。これにより、バッテリー価格の下落が進み、メーカーの収益を圧迫している。特に、中国勢は政府の支援を受けて低価格戦略を展開しており、他国のメーカーにとっては厳しい競争環境となっている。
資源確保と地政学リスク
バッテリーの主要原料であるリチウムやコバルト、ニッケルなどの資源は、特定の国に偏在している。中国はこれらの資源の確保に向けた動きを活発化させており、海外での鉱山取得や精製能力の強化を進めている。これに対し、日本を含む他国のメーカーは、資源の安定確保に向けた戦略の見直しを迫られている。
日本勢の巻き返し策
こうした中、日本のバッテリーメーカーは、技術力や品質の高さを武器に巻き返しを図っている。全固体電池など次世代技術の開発を進めるとともに、欧米の自動車メーカーとの連携を強化する動きも見られる。また、資源の安定確保に向けて、オーストラリアや南米などでの鉱山開発への投資も進められている。
世界のバッテリー市場は、今後も成長が見込まれる一方で、競争は一層激化するとみられる。日本勢が生き残るためには、技術開発の加速とともに、資源戦略や国際協力の強化が不可欠となる。



