EVシフト加速、部品調達が新たな競争軸に:トヨタのサプライチェーン改革
EVシフト加速、部品調達が新たな競争軸に

電気自動車(EV)への移行が加速する中、自動車メーカーの競争軸が従来の完成車開発から部品調達へとシフトしている。特に半導体やバッテリーといったコア部品の安定確保が、生産計画やコスト競争力を左右する鍵となっている。

トヨタ、系列を超えた調達網へ

トヨタ自動車は長年、系列部品メーカーとの緊密な関係を強みとしてきたが、EVシフトに伴い調達戦略の見直しを迫られている。同社は2023年、半導体の安定調達を目的に、デンソーと共同で半導体設計会社を設立。従来の系列を超えた外部企業との協業を加速させている。

また、トヨタは2026年までにEV用バッテリーの調達量を2023年比で約3倍に増やす計画を発表。パナソニックや中国のCATLなど複数社からの調達を進め、供給リスクの分散を図る。

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半導体不足が教訓に

2020年からの世界的な半導体不足は、自動車業界に調達の脆弱性を痛感させた。トヨタは他社に比べて影響が軽微だったものの、2022年には複数回の減産を余儀なくされた。この経験から、同社は半導体の在庫戦略を見直し、主要品目については従来の3カ月分から6カ月分の在庫確保を目指す方針を示している。

業界アナリストの鈴木一郎氏(仮名)は「トヨタの強みは系列ネットワークだが、EV時代にはむしろ柔軟な調達が求められる。同社がどのようにバランスを取るかが注目だ」と指摘する。

部品調達の変化がもたらす影響

EVではエンジンやトランスミッションなど約3万点の部品が不要になる一方、バッテリーやモーター、パワーコントロールユニットなど新たな部品が必要となる。これにより、従来の部品メーカーの競争力が大きく変わる可能性がある。

実際、エンジン部品を主力としてきたメーカーはEV向け部品への転換を迫られている。トヨタ系列のアイシンは、電動化対応部品の売上高を2030年までに全体の50%に引き上げる目標を掲げる。

サプライチェーン全体の再構築

トヨタは調達先の多様化だけでなく、サプライチェーン全体の可視化にも取り組む。2024年からは主要サプライヤーとの間でブロックチェーンを活用した部品トレーサビリティシステムの試験運用を開始。これにより、部品の流通状況をリアルタイムで把握し、混乱時の迅速な対応を目指す。

また、同社はリサイクル材の活用にも注力。使用済みバッテリーからレアメタルを回収する技術を開発し、2030年までに新車搭載バッテリーの30%以上をリサイクル材で賄う計画だ。

競争激化と今後の展望

EVシフトによる部品調達の変化は、トヨタだけでなく業界全体に影響を及ぼしている。ドイツのフォルクスワーゲンは自社でバッテリー工場を建設し、米テスラは半導体の内製化を進める。各社が調達戦略で差別化を図る中、トヨタの系列を活かしたハイブリッド戦略が成功するかどうかが、今後の競争を占う鍵となる。

経済産業省のデータによれば、2030年の世界のEV市場は2023年の約3倍の3000万台規模に拡大すると予測される。部品調達の巧拙が、メーカーの明暗を分ける時代が到来している。

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