自動車業界で急速に進むEV(電気自動車)シフトにより、部品大手各社が従来の内燃機関向け事業から新たな成長分野への転換を急いでいる。脱炭素社会の実現に向けた潮流や各国の規制強化を背景に、電動化対応部品や新エネルギー関連事業への投資が加速している。
デンソー、エンジン部品から電動化へ軸足
デンソーは、エンジン関連部品で培った技術を生かし、電動化ユニットや半導体事業に注力。2025年度までに電動化関連の売上高を現在の約2倍に拡大する目標を掲げる。同社の林新之助社長は「エンジン部品の需要減少は避けられないが、電動化技術で新たな価値を提供する」と述べ、変革の必要性を強調した。
デンソーはまた、バッテリー管理システムやインバーターなどEV向けコア部品の開発を加速。さらに、パワー半導体の増産にも乗り出しており、2030年までに半導体事業の売上高を現在の3倍以上にする計画だ。
アイシン、ギア技術でEV向け新製品
アイシンは、トランスミッションで培ったギア技術を応用し、EV向けのeアクスル(電動駆動モジュール)に参入。同社の吉田守孝社長は「ガソリン車からEVへの移行は部品点数を減らすが、当社の精密加工技術はEVでも生きる」と語る。アイシンは、eアクスルに加え、ブレーキやサスペンションの電動化製品も強化し、2030年までに電動化関連売上高を倍増させる目標を掲げる。
また、水素エンジン向け部品の研究開発にも着手。水素社会の実現を見据え、内燃機関技術の転用を模索する。
豊田自動織機、電池事業で攻勢
豊田自動織機は、フォークリフトで培ったバッテリー技術を生かし、車載用リチウムイオン電池の生産を拡大。2026年までに生産能力を現在の3倍に引き上げる計画だ。同社の大西朗社長は「電動化の鍵は電池。当社の強みを生かし、EV普及に貢献したい」とコメント。
さらに、全固体電池の量産技術開発にも注力しており、2027年までの実用化を目指す。これにより、航続距離の延長や充電時間の短縮といったEVの課題解決に寄与する考えだ。
サプライチェーン再編の波
部品大手の変革は、サプライチェーン全体にも影響を及ぼしている。従来の内燃機関向け部品メーカーは、事業縮小や再編を迫られており、業界再編が加速。一方、電動化関連の新興企業との連携や買収も活発化している。
専門家は「部品大手の変革は、日本の自動車産業の競争力維持に不可欠。電動化で失われる雇用を新事業で吸収できるかが焦点」と指摘する。



