EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場の現実
EVシフト加速、中国勢が席巻する東南アジア市場 (28.06.2026)

東南アジアの電気自動車(EV)市場で、中国メーカーが存在感を急速に高めている。タイでは2023年のEV新車販売台数の約8割を中国ブランドが占め、日本メーカーは大きく水をあけられた。かつては日本車が市場を席巻していた東南アジアだが、EVシフトで勢力図が塗り替わりつつある。

タイ市場で中国勢が躍進

タイ自動車工業会のデータによると、2023年のタイ国内のEV販売台数は約7万6000台。このうち、中国のBYDが約3万台で首位、続いて中国のMG(上海汽車)と長城汽車が続く。日本メーカーで最も販売台数が多かったのは日産のリーフで、約3000台にとどまった。

タイ政府はEV普及に積極的で、購入補助金や輸入関税の引き下げなど、手厚い優遇策を打ち出している。こうした政策を背景に、中国メーカーは低価格モデルを投入し、市場を席巻した。BYDのコンパクトEV「ドルフィン」は約76万バーツ(約310万円)から販売され、ガソリン車と同等の価格帯で人気を集めている。

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現地生産でさらなる攻勢

中国メーカーは単なる販売だけでなく、東南アジアでの現地生産も加速している。BYDはタイに年産15万台の工場を建設中で、2024年に稼働予定。MGもタイで生産を開始しており、長城汽車はインドネシアでの生産を計画している。これにより、関税コストを削減し、さらに価格競争力を高める狙いだ。

一方、日本メーカーの対応は遅れている。トヨタはタイでEV「bZ4X」を販売するが、価格は約180万バーツと中国勢の倍以上。ホンダもEV「e:N1」を投入したが、販売台数は伸び悩んでいる。日本メーカーはハイブリッド車(HV)で強みを持つが、EVへの本格的なシフトが急務となっている。

インドネシアでも中国勢が先行

東南アジア最大の自動車市場であるインドネシアでも、同様の傾向が見られる。2023年のEV販売台数は約1万7000台で、このうち中国の五菱汽車(Wuling)が約8000台で首位。韓国の現代自動車が約6000台で続き、日本メーカーは上位に入っていない。

インドネシア政府は、ニッケル資源を活用したEVバッテリー産業の育成に力を入れており、中国企業との連携を強化している。CATLやBYDなど、中国のバッテリーメーカーやEVメーカーが相次いで進出を表明している。

日本メーカーの巻き返しは可能か

日本メーカーはこれまで、東南アジアで長年にわたり高いシェアを誇ってきた。しかし、EVシフトで中国勢に先行を許したことで、その牙城が崩れつつある。トヨタやホンダは、タイでのEV生産を2024年以降に計画しているが、中国勢の攻勢に対抗できるかは不透明だ。

また、日本メーカーはHVやプラグインハイブリッド車(PHV)で一定の需要を維持しているが、EVへの移行が加速する中、戦略の見直しを迫られている。価格競争力やバッテリー調達など、課題は多い。

市場の将来展望

東南アジアのEV市場は、今後も急成長が見込まれる。調査会社の予測では、2030年までに東南アジアのEV販売台数は年間100万台を超えるとされる。タイ政府は2030年までに新車販売の30%をEVにする目標を掲げており、インドネシアやマレーシアでも同様の目標が設定されている。

中国メーカーは低価格モデルと現地生産で優位に立つが、品質やアフターサービス面での課題も指摘されている。日本メーカーは、長年の信頼やブランド力を武器に、EV市場での巻き返しを図ることができるか。今後の動向が注目される。

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