EVシフト加速で電池材料争奪戦、リサイクル技術に注目集まる
EVシフト加速で電池材料争奪戦、リサイクル技術に注目

電気自動車(EV)の世界的な普及加速に伴い、リチウムイオン電池に不可欠なリチウム、コバルト、ニッケルなどの材料の需給逼迫が深刻化している。この状況を受け、資源の安定確保に向け、使用済み電池からのリサイクル技術が急速に脚光を浴びている。

日本企業、リサイクル技術で存在感

日本の素材メーカーや総合商社は、鉱山権益の確保に加え、リサイクル技術の開発と実用化で電池材料の安定調達を目指している。住友金属鉱山は、ニッケルとコバルトのリサイクル技術を確立し、実証プラントを稼働させている。同社は「リサイクル比率を高めることで、資源の安定供給と環境負荷低減の両立を図る」としている。

また、JX金属は、使用済みリチウムイオン電池からリチウムを高効率で回収する技術を開発。2025年までの実用化を目指し、パイロットプラントでの検証を進めている。同社の担当者は「リチウムの回収率は従来技術より2割向上する見込み」と述べている。

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欧州の規制強化が追い風

欧州連合(EU)は2023年に、電池の持続可能性に関する新規則を採択。使用済み電池の回収率やリサイクル材料の使用割合に厳しい目標を設定した。これにより、リサイクル技術の需要はさらに高まるとみられる。

国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、EV販売台数が現在のペースで増加した場合、2030年にはリチウム需要が2021年の約7倍、コバルト需要が約4倍に拡大する。一方、既存の鉱山開発だけでは供給が追いつかない可能性が指摘されている。

リサイクル市場、2030年に1兆円超えも

富士経済の調査によると、リチウムイオン電池リサイクル市場は2030年に約1兆2000億円規模に拡大すると予測されている。2022年の約400億円から30倍超の成長だ。

日本では、トヨタ自動車や日産自動車など自動車メーカーもリサイクル事業に参入。トヨタは、レアアースのリサイクル技術を活用し、電池材料の回収を進めている。日産は、使用済みEV電池を蓄電池として再利用する「4R事業」を展開している。

課題はコストと回収率

リサイクル技術の普及には、コスト低減と廃電池の回収率向上が課題だ。現在のリチウムイオン電池の回収率は日本では約20%にとどまる。経済産業省は、2030年までに回収率を50%以上に引き上げる目標を掲げている。

また、リサイクル工程で発生する廃棄物の処理や、エネルギー消費の削減も重要だ。素材メーカー各社は、環境負荷の少ないリサイクルプロセスの開発にしのぎを削っている。

鉱山権益確保も同時進行

一方で、日本企業はリサイクルと並行して、海外の鉱山権益の確保にも注力している。例えば、阪和興業はアルゼンチンのリチウム鉱山に参画し、年間2万トンの生産を目指している。三菱商事はチリのリチウム生産事業に資本参加している。

日本の電池材料調達戦略は、リサイクルと鉱山投資の両輪で進められている。資源の偏在や地政学的リスクを考慮すると、リサイクル技術の重要性は今後ますます高まると専門家は指摘する。

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