世界の電気自動車(EV)販売は堅調に推移しているが、中国市場の減速が日系自動車メーカーにとって大きなリスクとなっている。2024年第1四半期の世界EV販売台数は前年同期比25%増の約300万台に達したが、中国市場では補助金縮小や競争激化により成長率が鈍化している。
中国市場の減速要因
中国では2023年にEV補助金が段階的に廃止され、2024年には新車販売全体に占めるEV比率が30%を超えたものの、成長ペースは鈍化。中国自動車工業協会のデータによると、2024年1~3月のEV販売台数は前年同期比18%増にとどまり、2023年の同35%増から減速した。特に日系メーカーは中国市場でのシェア低下に直面しており、トヨタの中国販売台数は前年比5%減、ホンダは8%減となった。
日系メーカーの戦略転換
トヨタは2026年までにEVの年間販売台数を150万台に引き上げる目標を掲げるが、中国市場ではBYDなどの中国メーカーとの競争が激化。トヨタの広報担当者は「中国市場の変化に対応するため、現地生産のEVモデルを2025年までに5車種に拡大する」と述べた。一方、ホンダは2024年に中国でEV専用工場を稼働させ、2030年までにEV比率を40%に引き上げる計画だ。
リスクと今後の見通し
中国市場の減速は日系メーカーの収益に直接影響する。中国は世界最大の自動車市場であり、日系メーカーの売上高の約3割を占める。三菱UFJモルガン・スタンレー証券のアナリストは「中国市場でのシェア低下が続けば、日系メーカーの収益性は悪化する」と指摘。さらに、中国メーカーのEVが欧州や東南アジア市場に進出していることも、日系メーカーにとって脅威となっている。
日系メーカーは中国市場に過度に依存しないよう、インドや東南アジアでのEV生産拡大を進めている。トヨタはインドで2025年までにEVの現地生産を開始する計画で、ホンダもタイでEV生産を強化する。しかし、中国市場の減速が長期化すれば、日系メーカーの全球戦略にも影響が及ぶ可能性がある。
まとめ
EV販売は世界全体で好調だが、中国市場の減速は日系自動車メーカーにとって避けられないリスクだ。各社は中国依存からの脱却を急ぐとともに、競争力のあるEVモデルの投入が求められる。今後の動向が注目される。



