電気自動車(EV)の販売が世界的に減速する中、自動車業界ではサプライチェーンの再編が加速している。トヨタ自動車は2025年度のEV販売目標を従来の150万台から100万台に下方修正し、これに伴い部品調達戦略を見直す方針だ。この動きは、EV市場の成長鈍化を受けたもので、他の自動車メーカーにも波及している。
EV販売低迷の背景
世界的なEV販売の減速は、補助金の縮小や充電インフラの整備遅れ、消費者の価格感応度の高まりが要因とされる。国際エネルギー機関(IEA)の報告によれば、2024年の世界のEV販売台数は前年比で35%増の約1700万台と予測されるが、これは従来の予測を下回る。特に欧州では、補助金打ち切りにより需要が冷え込んでいる。
トヨタの豊田章男会長は「EV一辺倒ではなく、多様な選択肢を提供する」と述べ、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の需要が依然強いことを強調した。実際、トヨタの2024年のHV販売は前年比20%増と好調だ。
サプライチェーン再編の具体策
自動車メーカーは、EV向け部品の調達計画を縮小し、既存の内燃機関車やHV向け部品の生産を維持する動きを見せている。デンソーやアイシンなどの大手サプライヤーは、EV専用部品の生産ラインを一部停止し、従来型部品の生産にシフトしている。
また、バッテリー調達においても変化が見られる。トヨタは、子会社のプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)との協業を強化し、車載電池の内製化を進める一方、外部調達の比率を減らす方針だ。これにより、サプライチェーンの効率化とコスト削減を図る。
業界への影響と今後の展望
この再編は、部品サプライヤーにとって厳しい経営環境をもたらす。特にEV向け部品に特化した中小サプライヤーは、受注減少により存続が危ぶまれるケースも出ている。日本自動車部品工業会の調査によると、2024年度の部品サプライヤーの経常利益は前年比で10%減少する見込みだ。
一方で、長期的にはEV市場の回復が見込まれるため、サプライヤーは技術開発を継続する必要がある。トヨタは、2026年以降に次世代EVバッテリーを投入する計画で、これにより競争力の強化を目指す。



