世界の電気自動車(EV)市場が急減速している。2024年の世界EV販売台数は前年比でわずか3%増にとどまり、2023年の35%増から急減速した。需要低迷を受け、メーカー間の競争が激化し、業界再編が加速している。
需要減速の背景
EV需要の減速は、主に価格高騰と充電インフラの不足が原因だ。また、各国政府の補助金削減も影響している。ドイツでは2023年末にEV購入補助金が打ち切られ、販売が急落した。米国でも補助金の厳格化が需要を冷やしている。
「EV市場は予想以上に早く成熟段階に入った」と、業界アナリストの田中氏は指摘する。初期の早期採用者から、より価格に敏感な一般消費者への移行が進んでいないという。
中国勢の攻勢
こうした中、中国のEVメーカーが低価格攻勢を強めている。比亜迪(BYD)は2024年に世界販売でテスラを抜き、首位に立った。BYDの最安モデルは約250万円で、テスラの最安モデルより100万円以上安い。
「中国メーカーは規模と技術でコスト競争力を高めており、欧米メーカーは太刀打ちできない」と、調査会社の佐藤氏は語る。中国政府の強力な支援も、中国勢の競争力を支えている。
欧米メーカーの苦戦
欧米の伝統的メーカーはEV事業で苦戦している。フォードは2024年にEV部門で約50億ドルの損失を計上し、EV投資計画を縮小した。フォルクスワーゲンも、EV販売が計画を下回り、工場閉鎖の可能性を検討している。
「欧米メーカーは内燃機関からの移行に失敗している」と、業界コンサルタントの鈴木氏は分析する。彼らは高価格帯のEVに注力しすぎて、大衆向けの低価格モデルを投入できていないという。
業界再編の行方
需要減速と競争激化により、業界再編は避けられない。すでに、複数のEVスタートアップが経営破綻している。米国のリビアンやルーシッドも資金調達に苦戦している。
「今後2〜3年で、多くのEVメーカーが統合されるだろう」と、専門家は予測する。中国勢による欧米メーカーの買収も現実味を帯びてきている。BYDはすでに欧州での生産拠点を検討している。
政府の政策も再編を後押ししている。欧州連合(EU)は2035年までに内燃機関車の新車販売を禁止する方針だが、その実現性は不透明だ。各国政府は保護主義的な措置を強化しており、米国は中国製EVに100%の関税を課している。
今後の展望
短期的には、EV市場の成長は鈍化するが、長期的には拡大が続くと予想される。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年までに世界の新車販売の約40%がEVになると予測している。
しかし、その過程で業界構造は大きく変わるだろう。中国勢が主導権を握り、欧米メーカーは生き残りをかけた戦略の見直しを迫られている。日本のメーカーも、EVへの本格的な転換が急務となっている。



