EV販売減速で自動車業界に新たな試練、サプライチェーン再編加速へ
EV販売減速で自動車業界に試練、サプライチェーン再編加速

世界的な電気自動車(EV)販売の減速が自動車業界に新たな試練をもたらしている。2023年後半以降、主要市場でEV需要が予想を下回り、自動車メーカー各社は生産計画の見直しを迫られている。日本政府もEV購入補助金の制度見直しを検討するなど、サプライチェーン全体の再編が加速している。

販売減速の実態と背景

国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2023年の世界のEV販売台数は前年比35%増の約1400万台に達したが、2024年上半期の伸び率は20%に鈍化した。特に欧州市場では、補助金削減や充電インフラ不足が需要減退の主因とされる。ドイツでは2023年12月にEV補助金が突然打ち切られ、2024年上半期のEV新車登録台数は前年同期比16%減少した。

米国でも、高金利と価格競争激化が販売を圧迫。テスラは2024年1-3月期の納車台数が前年同期比8.5%減の38万6810台となり、市場予想を下回った。フォードやゼネラルモーターズ(GM)は、EV投資計画を延期・縮小する動きを見せている。

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日本メーカーの対応

日本の自動車メーカーも影響を受けている。トヨタ自動車は2026年のEV販売目標を150万台から100万台に下方修正。日産自動車は2024年度のEV販売計画を当初比3割減の30万台に引き下げた。ホンダは北米でのEV生産開始を2026年から2027年に延期する方針を固めた。

一方で、ハイブリッド車(HV)の人気が再燃。トヨタの2024年上半期の世界HV販売は前年同期比25%増の約190万台に達し、EV減速の穴を埋める形となっている。業界関係者は「消費者は価格と実用性を重視しており、HVは当面の現実解だ」と指摘する。

サプライチェーンへの影響

EV販売減速は、部品メーカーや素材産業にも波及している。バッテリー大手の中国・寧徳時代新能源科技(CATL)は、2024年第1四半期の純利益が前年同期比7%増にとどまり、成長が鈍化。レアアースやリチウム価格の下落も、鉱山会社の収益を圧迫している。

日本政府は2024年6月、EV・蓄電池のサプライチェーン強化に向け、補助金制度の見直しに着手。経済産業省の担当者は「需要変動に対応できる柔軟な供給網の構築が必要」と述べ、部品の共通化や生産拠点の分散化を促進する方針を示した。

今後の展望

長期的にはEVシフトは不可避との見方が強いが、短期的な需要変動への対応が課題となる。調査会社ブルームバーグNEFは、2030年の世界EV販売台数予測を従来の4500万台から4000万台に下方修正した。自動車メーカーは、EVとHVの両軸で戦略を柔軟に調整する必要に迫られている。

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