EV販売鈍化で中国電池大手CATLの業績に黄信号、在庫急増と価格競争の深刻な影響
EV販売鈍化でCATLに黄信号、在庫急増と価格競争

世界最大の電気自動車(EV)用電池メーカー、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が深刻な経営課題に直面している。中国EV市場の販売鈍化を受け、同社の在庫が急増し、価格競争が激化しているのだ。

在庫急増と業績悪化

CATLの2025年第1四半期(1~3月)の在庫は前年同期比40%増の約120億元(約2400億円)に達した。これは過去最高水準であり、同社の収益性を圧迫している。売上高は前年同期比で5%減少し、純利益は10%減の85億元となった。同社の広報担当者は「市場環境の変化に対応するため、生産調整を進めている」と述べたが、具体的な対策は明らかにしていない。

価格競争の激化

中国のEV市場では、政府補助金の縮小や需要の一巡により、2024年以降販売台数が伸び悩んでいる。これに伴い、電池メーカー間の価格競争が激化。CATLは主要顧客である比亜迪(BYD)や上海汽車(SAIC Motor)向けに値下げを余儀なくされ、1キロワット時あたりの平均販売価格は前年比15%下落した。業界アナリストの張明氏は「CATLは規模の優位性を持つが、価格競争が長期化すれば収益性の低下は避けられない」と指摘する。

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新興企業との競争

さらに、CATLは中国の新興電池メーカー、中創新航(CALB)や国軒高科(Gotion High-tech)の追随も受けている。これらの企業は低価格戦略でシェアを拡大しており、CATLの市場シェアは2024年の45%から2025年第1四半期には40%に低下した。CATLはリン酸鉄リチウム(LFP)電池の生産効率向上や、ナトリウムイオン電池の量産開始で対抗する方針だが、技術的な差別化が不十分との声もある。

海外市場への依存

一方、CATLは海外市場への依存度を高めている。2025年第1四半期の海外売上高は全体の35%を占め、前年の28%から上昇。欧州や東南アジアでのEV需要拡大を受けて、ドイツやハンガリーの工場増設を進めている。しかし、米国市場ではバイデン政権のインフレ抑制法(IRA)により、中国製電池の調達が制限されており、北米での事業拡大は困難を伴う。

業界全体への波及

CATLの苦境は、中国のEVサプライチェーン全体に影響を与える可能性がある。同社は原材料のリチウムやコバルトの価格交渉力が強く、在庫過多が解消されなければ、鉱山会社への発注減につながる恐れがある。また、CATLの値下げは他の電池メーカーにも波及し、業界全体の収益を圧迫している。中国汽車工業協会のデータによると、2025年第1四半期の中国国内の電池総出荷量は前年比3%増にとどまり、成長の鈍化が顕著だ。

今後の見通し

CATLは2025年通期の業績予想を未公表だが、アナリストは在庫調整が少なくとも半年は続くと見ている。同社は研究開発費を前年比20%増の150億元に引き上げ、全固体電池や次世代電池の開発を加速する方針。しかし、市場の回復には時間がかかるとの見方が強い。投資家の間では、CATLの株価が年初来で25%下落しており、先行き不透明感が広がっている。

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