EV販売鈍化でバッテリー大手が直面する在庫調整と収益悪化の現実
EV販売鈍化でバッテリー大手が直面する在庫調整と収益悪化

電気自動車(EV)市場の成長鈍化が、バッテリーメーカー各社に深刻な影響を及ぼしている。2024年の世界のEV販売台数は前年比約20%増にとどまり、2023年の35%増から大きく減速した。この需要減退を受け、バッテリー業界では在庫調整が進み、収益性が悪化している。

需要減退と在庫過剰の悪循環

中国を中心としたEV市場の在庫過剰が問題となっている。2024年上半期の中国国内のEV在庫は、前年同期比で約40%増加し、メーカー各社は大幅な値引き販売を余儀なくされた。この影響で、バッテリーセルの価格は2023年比で約20%下落。CATLやBYDなどの中国大手は生産調整を実施し、稼働率が70%を下回る工場も出ている。

韓国勢も例外ではない。LGエナジーソリューションは2024年第2四半期の営業利益が前年同期比で約60%減少した。同社は北米市場向けの生産拡大計画を一部延期し、在庫水準の適正化に注力している。

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競争激化と価格下落の連鎖

バッテリー価格の下落は、自動車メーカーにとっては歓迎すべき材料だが、バッテリーメーカーにとっては収益を圧迫する要因となっている。業界団体のBNEFによると、2024年のリチウムイオンバッテリーパックの平均価格は1kWhあたり約100ドルまで低下し、2023年から約15%下落した。この傾向は続き、2025年には90ドルを下回る可能性があると予測されている。

価格競争にさらされる中、各社はコスト削減と技術革新で差別化を図る。CATLはナトリウムイオンバッテリーの量産を開始し、低コスト路線を強化。一方、パナソニックは北米市場向けに高エネルギー密度の次世代バッテリーの開発を加速している。

欧米市場の減速と政策リスク

欧州では補助金縮小がEV販売に冷や水を浴びせている。ドイツでは2024年にEV購入補助金が完全に打ち切られ、上半期のEV販売台数は前年同期比で約10%減少。これに伴い、バッテリーメーカーの欧州工場の稼働率は低下し、在庫調整が進んでいる。

米国ではインフレ抑制法(IRA)による税額控除が需要を下支えしているが、大統領選挙の結果によって政策が変更されるリスクがある。業界関係者は「政策の不透明感が投資判断を難しくしている」と指摘する。

生き残りをかけた戦略転換

バッテリーメーカー各社は、短期的な需要変動に対応しつつ、長期的な成長を見据えた投資を継続する必要に迫られている。業界アナリストは「2025年以降、需要が再び加速すると見込まれるが、それまでに財務体力を維持できるかが鍵」と分析する。

特に中小メーカーは資金調達が難しくなっており、業界再編の可能性が高まっている。実際、2024年には複数のバッテリーメーカーが提携や合併を模索しており、今後の業界地図が大きく変わる可能性がある。

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