中国の電気自動車(EV)メーカーが欧州市場で販売台数を急増させている。2023年、中国ブランドのEVは欧州で約30万台を販売し、前年比で倍増した。特にBYDや上海汽車傘下のMG(旧MGローバー)が好調で、MGは欧州全体のEV販売でトップ10に入る勢いだ。
急成長の背景と関税引き上げの動き
この急成長の背景には、中国政府の補助金や規模の経済による低価格競争力がある。しかし、欧州連合(EU)は中国製EVに対して反補助金調査を開始し、最大で25%の関税を課す可能性がある。現在の乗用車関税は10%だが、追加関税が課されれば価格競争力が大きく損なわれる。
EUの報告書によれば、中国製EVの市場シェアは2025年までに15%に達する可能性がある。これに対し、欧州自動車メーカーは競争激化を懸念し、EUに保護措置を求めている。
現地生産へのシフト
関税リスクを回避するため、中国メーカーは欧州での現地生産を加速している。BYDはハンガリーに工場を建設中で、2025年からの稼働を目指す。また、MGは英国やスペインでの生産拠点を検討している。業界アナリストは「現地生産が進めば、関税の影響を軽減できるが、コスト増は避けられない」と指摘する。
一方、欧州の消費者にとっては、中国EVの低価格が魅力であり、関税引き上げは選択肢を狭める可能性がある。環境目標の達成にも影響を与えかねない。
今後の展望
EUの調査は2024年秋までに暫定措置が決まる見通し。中国メーカーは法廷闘争も辞さない構えだが、長期的には欧州との協調路線を模索する。自動車業界は「貿易摩擦が激化すれば、双方に大きな損失が出る」と警告している。
中国EVの欧州進出は、単なる販売拡大を超えて、現地生産や技術提携など新たな段階に入りつつある。今後の動向が注目される。



