中国EVメーカー、欧州で販売シェア拡大へ 関税引き上げも勢い止まらず
中国EV、欧州でシェア拡大 関税も勢い止まらず

中国の電気自動車(EV)メーカーが欧州市場で存在感を増している。欧州連合(EU)が中国製EVに対する関税を引き上げる方針を打ち出したものの、その勢いは衰えていない。2024年には中国EVの欧州市場シェアが25%に達する見通しで、欧州の自動車メーカーにとって大きな脅威となっている。

低価格戦略で市場を席巻

中国EVの強みは何と言っても低価格だ。例えば、比亜迪(BYD)の「ATTO 3」は欧州で約3万8000ユーロ(約600万円)から販売されており、同等の航続距離を持つ欧州メーカーのEVより1万ユーロ以上安い。また、上海汽車集団(SAIC)の「MG4」は約3万ユーロからと、さらに手頃な価格帯を実現している。

「中国メーカーは価格競争力だけでなく、バッテリー技術やコネクテッドサービスでも優位に立っている」と、ドイツの自動車コンサルタント、フェルディナント・デュデンヘーファー氏は指摘する。同氏によれば、中国EVの品質は急速に向上しており、欧州の消費者もその価値を認識し始めているという。

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EUの関税引き上げも効果限定的

EUは2024年7月から中国製EVに対する関税を最大25%に引き上げることを決定した。現在の10%から大幅な引き上げだが、中国メーカーはこれに対応する準備を進めている。

「関税が上がっても、中国EVの価格優位性は依然として大きい」と、欧州自動車工業会(ACEA)の広報担当者は語る。実際、関税引き上げ後も中国EVの販売台数は増加を続けており、2024年上半期の欧州での販売台数は前年同期比で30%増加した。

中国メーカーは欧州での現地生産も視野に入れている。BYDはハンガリーに工場を建設中で、2025年から生産を開始する予定だ。これにより、関税の影響を回避できるだけでなく、物流コストの削減にもつながる。

欧州メーカーの焦りと対応

中国EVの攻勢に、欧州の自動車メーカーは危機感を強めている。フォルクスワーゲン(VW)は2028年までに新型EVを30車種投入する計画を発表。ステランティスは中国の零跑汽車(Leapmotor)との提携を拡大し、低価格EVの開発を加速する。

「欧州メーカーはコスト削減と技術革新の両面で対応を迫られている」と、独自動車研究所(CAR)の研究員は分析する。特に、バッテリー調達コストの低減が急務で、欧州各社は自社バッテリー生産やサプライチェーンの多様化を進めている。

しかし、中国メーカーの勢いを止めるのは容易ではない。中国政府の強力な産業政策と膨大な国内市場を背景に、中国EVメーカーはさらなる成長を目指している。欧州市場でのシェア拡大は、その第一歩に過ぎない。

今後の展望

専門家の間では、中国EVの欧州市場シェアは2030年までに30%を超えるとの予測もある。欧州メーカーが生き残るためには、政府の支援も含めた総合的な戦略が必要だ。EUは2035年までにガソリン車の新車販売を禁止する方針だが、中国EVの台頭でそのシナリオにも影響が出る可能性がある。

「欧州の自動車産業は岐路に立たされている」と、デュデンヘーファー氏は警告する。「中国メーカーとの競争に打ち勝つためには、技術革新とコスト削減だけでなく、新たなビジネスモデルの構築が求められる」。

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