中国政府は、電気自動車(EV)の購入者に対し、自宅や職場などに充電設備を設置することを義務付ける全国統一の規制案を発表した。この動きは、世界最大の自動車市場である中国でEV普及をさらに加速させ、充電インフラの整備を促進することを目的としている。
規制の概要と背景
中国工業情報化省(工信部)が2024年5月に公表した「充電インフラ発展促進行動計画」案によると、新たにEVを購入する個人および法人は、購入後1年以内に充電設備を設置するか、設置済みであることを証明する必要がある。この規制は、中国全土で一律に適用される初めての試みとなる。
中国政府は、2035年までに新車販売の50%以上をEVやプラグインハイブリッド車などの新エネルギー車(NEV)とする目標を掲げている。2023年の中国におけるNEV販売台数は約950万台で、前年比37%増加したが、充電インフラの整備が追いついていないことが課題となっていた。
充電インフラの現状と課題
中国充電インフラ促進連盟のデータによると、2024年3月時点で中国国内の公共充電スタンドは約300万基に達している。しかし、EV保有台数は約2000万台に上り、充電スタンド1基あたりのEV台数は約6.7台と、依然として不足している。特に都市部では、集合住宅の駐車場に充電設備がないケースが多く、EV購入の障壁となっている。
工信部の担当者は、「この規制により、充電インフラの整備が加速し、EVユーザーの利便性が向上する。また、集合住宅の管理会社や電力会社との連携を強化し、設置コストの低減にも取り組む」と述べている。
業界の反応と今後の見通し
中国自動車工業協会は、この規制案を歓迎する一方で、集合住宅における充電設備設置の実現性に懸念を示している。同協会の関係者は、「集合住宅では、管理組合の同意や電気容量の制限など、解決すべき課題が多い。政府には、設置を促進するための補助金や技術的支援を期待する」とコメントしている。
一方、EVメーカーの間では、この規制が販売促進につながるとの見方が強い。比亜迪(BYD)の広報担当者は、「充電設備の設置義務化は、EV購入を検討する顧客の不安を解消し、市場拡大に寄与する。当社は、充電器の無料設置キャンペーンなどで対応を強化する」と述べた。
この規制案は、パブリックコメントを経て、2024年中に正式決定される見通し。中国政府は、EV普及と充電インフラ整備の両輪で、世界最大のEV市場としての地位を確固たるものにしたい考えだ。



