中国の電気自動車(EV)大手、BYD(比亜迪)が日本市場で攻勢を強めている。同社は2025年までに日本国内で1万台の販売を目標に掲げ、ディーラー網を現在の約60店舗から倍増させる計画だ。これは、日本でのEV普及が加速する中、BYDが世界戦略の一環として日本市場を重視していることを示している。
日本市場での販売目標と背景
BYDの日本法人、BYDジャパンは、2023年に日本市場に再参入し、現在は「ATTO 3」や「ドルフィン」などのモデルを販売している。2024年の販売実績は非公開だが、2025年の目標として1万台を掲げる。これは、日本のEV市場全体が2024年に約8万台とされる中、シェア約12%に相当する野心的な数字だ。同社は、ディーラー網の拡大により、都市部だけでなく地方でも販売・サービス拠点を増やし、顧客の利便性を高める方針だ。
ディーラー網の倍増計画
BYDジャパンの担当者は、「現在約60店舗のディーラーを、2025年末までに100店舗以上に拡大する予定です」と述べている。これにより、東京や大阪などの大都市圏だけでなく、地方都市でも実車を見学・試乗できる環境を整える。また、急速充電器の設置も進め、充電インフラの整備も同時に行う。ディーラー網の拡大は、販売台数増加の鍵を握ると見られる。
日本市場の課題とBYDの戦略
日本市場では、トヨタや日産などの国産メーカーがハイブリッド車(HV)やEVを投入しており、競争が激化している。BYDは、低価格帯のEVを武器に、コストパフォーマンスの高さをアピールする。特に「ドルフィン」は、価格を300万円台に抑え、補助金を活用すれば実質250万円台で購入可能だ。また、BYDは独自のブレードバッテリーを搭載し、安全性と航続距離の両立を強調している。しかし、日本ではアフターサービスやブランド認知度が課題であり、ディーラー網の拡大と同時に、サービス品質の向上も求められる。
EV普及への影響
BYDの攻勢は、日本のEV市場全体の活性化につながる可能性がある。日本政府は2035年までに新車販売を全て電動車にする目標を掲げており、EV普及の加速が期待される。BYDの低価格EVは、消費者のEVへの関心を高め、競争を通じて国産メーカーのEV開発を促進する効果も見込まれる。一方で、充電インフラの整備や、電力系統の負荷など、課題も残る。BYDの日本市場での成功は、中国EVメーカーの海外展開の試金石となるだろう。



